自分の女性器の立体データを提供したなどとして、わいせつ電磁的記録頒布などの罪に問われたペンネーム「ろくでなし子」の漫画家五十嵐恵被告(45)の控訴審判決で、東京高裁(秋吉淳一郎裁判長)は13日、1審東京地裁判決と同様、一部を無罪とした上で罰金40万円を言い渡した。五十嵐被告は即日上告した。

 五十嵐被告はロックミュージシャンの夫マイク・スコット氏(58)や山口貴士弁護士と都内で会見。五十嵐被告は「3Dデータは有罪だったが、女性器っぽいからわいせつというところから、裁判所が抜け出せていない。即日上告しました」と話した。

 山口弁護士は女性器をかたどった石こうに着色や装飾を施した作品「デコまん」については「芸術性や思想性を検討するまでもなくわいせつとは認められないと踏み込んだ判断だった」と東京高裁の判断を一部評価。上告の理由については「憲法違反ということになるが、主張として書けることはなんでも書いて、最高裁で見直してもらいたい」と話した。

 五十嵐被告は事件後に知り合ったスコット氏と結婚。今年2月には長男を出産した。この日はスコット氏とともに裁判所に現れ、スコット氏は傍聴席で裁判を見守った。スコット氏は「日本の司法制度は長年の歴史の積み重ねから、大変高貴な印象を受けた。だからこそ、なぜ、1人の芸術家の正当な表現の裁判に、これほどに時間をかけるのか理解に苦しむ」と話した。

 五十嵐被告は結婚、出産について「逮捕を機にニュースを見て連絡をくれた夫と結婚し、出産した。私の世界を股に掛けた壮大な婚活のようなよく分からない展開になってきているが、女性器から新しい生命が生まれ出たことはとても象徴的なことだと思います」と笑顔で話した。

 会見後、五十嵐被告は「夫が9月にアルバムを出します」と宣伝。スコット氏によると、アルバムには「恵の表現をめぐる戦いの曲が3~4曲と、山口弁護士の曲『ヤマベン』も入っている。サイケデリックファンキーロックだよ」と話した。