江戸勧進相撲の発祥地として知られる富岡八幡宮(東京都江東区)で起きた4人死傷事件で、殺害された女性宮司富岡長子(ながこ)さん(58)と元宮司で弟の富岡茂永容疑者(56)が宮司の地位を巡り、16年以上も確執を深めていたことが分かった。茂永容疑者は金銭問題などで01年5月、宮司を退任。以来、長子さんに「地獄へ送る」と書いたはがきを送って脅迫容疑で逮捕されるなど恨みを募らせていた。

 富岡八幡宮は6月、全国7万9000の神社を包括する宗教団体「神社本庁」に対し、加盟神社から離脱する通知を行い、宗教法人としての規約変更が9月28日に都から認証された。

 神社本庁によると、74年から宮司を務めた長子さんの父興永さんから、代替わりで茂永容疑者が宮司となったのが95年3月。しかし01年5月、「一身上の都合」により退任。再び興永さんが宮司に復帰した。10年に八幡宮から、神職だった長子さんの宮司就任の具申があり、神社本庁は「宮司代務者」に任命。八幡宮側からは13~15年に複数回、長子さんの宮司任命の具申があったという。

 神社本庁側は15年1月、八幡宮からの具申書を受理後、5回協議したが、宮司に任命せず、「富岡家の親族間の諸問題や裁判が係争中であることなどから、研修の受講を依頼してきた」という。その後も長子さんの宮司任命は実現せず。八幡宮は今年、神社本庁から離脱した。

 ◆宮司(ぐうじ) 富岡八幡宮が宗教法人として届け出ている都生活文化局によると、神社の場合は「その宗教法人の代表者」が宮司。特に国家資格などが必要ではなく、神社以外の宗教の場合も含め、氏子などの信者団体の同意などを経て、それぞれの宗教法人の中での決まりで選ばれる。宗教団体「神社本庁」によると、傘下の神社は「包括関係の神社」と呼ばれる。神社本庁に包括される被包括神社の宮司は、神社本庁が任命するという。