森友学園をめぐる財務省の文書改ざん問題で、佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問が27日午前、参院で行われた。
グレーのスーツで国会に姿を見せた佐川氏は、冒頭の委員長からの説明に対して大きく目を見開いて聞き入った。左胸には証人喚問に呼ばれたことを示す緑色のリボンを左胸に付けていた。
証言するに当たり、刑事訴追の可能性から証言を拒否することも認められるが、虚偽を話すと処罰される。佐川氏は「良心に従い真実を述べ、何事も付け加えない」と宣誓文を述べて宣誓書に署名、捺印した。
参院予算委員長の金子委員長から質問を受けた。
―公文書14件の書き換えは昨年2月~4月まで行われた。佐川氏は書き換えを知っていたか。いつ誰がどこでやったものか
佐川氏 私は告発を受けている身。本件、決裁文書の書き換えについては、いつどのように認識したかは捜査中で刑事訴追を受ける可能性があるので答弁を控えたい。
―財務省は不誠実の極み。証言を拒否するとのことですが、こうした事態の責任は誰にあるのか
佐川氏 決裁文書の書き換え問題は、国会で大きな混乱を招き、国民の皆さまに行政の信頼を揺るがす事態で誠に申し訳ない。当時の担当局長として責任はひとえに私にある。深くお詫びしたい。
-財務省幹部や政治家の関与は
佐川氏 本件は理財局の国有財産部局の個別案件で、理財局で対応しています。財務省の官房部局や官邸の指示はありませんでした。官邸に報告することもありませんでした。
-財務省では従来、文書の書き換えや文書の抜き取りが行われてのか
佐川氏 答える立場にありません。
佐川氏は深々と頭を下げた。
その後、自民党の丸川珠代氏が質問に立った。
-誰の指示でなぜ書き換えたのか。国民の行政への信頼回復のために知り得る限りの事実をお話下さい
佐川氏 理財局の中で行ったこと。だれがどうやったか、理財局で私が局長で捜査の対象であり、まさに書き換えられた決裁文書の問題で、刑事訴追のおそれがありますので証言は控えさせていただきたい。
-自身がいたときに書き換えられたのか
佐川氏 現実に決裁文書がいつ書き換えられたのか、私の関与も含めてコメントを控えます。
-安倍総理からの(公文書の改ざんの)指示は
佐川氏 ございませんでした。
-安倍総理の夫人からの指示は
佐川氏 ございませんでした。
-麻生大臣からの指示は
佐川氏 大臣からの指示もございませんでした。
菅義偉官房長官、首相秘書官らからの指示があったかも問われたが、佐川氏はいずれも「ございませんでした」と淡々と述べた。
-森友学園への貸し付けに総理、夫人から何らかの指示はあったか
佐川氏 貸し付け契約、売り払い契約、昨年の国会答弁を通して貸し付け契約の勉強をしたが、一切、総理や総理の夫人が関係があったとは思っていません。
-官邸関係者から指示は
そういうものはありませんでした。
-圧力は感じませんでしたか
佐川氏 そういうことは感じませんでした。
-特例的、特殊性という言葉は、官邸のことを意味するのか
佐川氏 そうではございません。
-総理夫人が名誉校長であること、なぜ書き換えたのか
佐川氏 書き換え前にあたる経緯は刑事訴追に関わるので答弁を差し控えたい。
-再発防止に何が必要か
佐川氏 国有財産の行政書類について公務員1人1人の意識の高さが必要だ。
丸川氏は「総理、官邸の関与はなかったという、証言が得られました」と述べて質疑を締めくくった。
この日の証人喚問でのポイントは、だれがいつ、何の目的で公文書が改ざんされたのかの解明が焦点となる。国有地売却を巡って、政治家、安倍晋三首相、首相の妻である昭恵夫人の関与があったのかが注目される。
佐川氏が公の場で話すのは、国税庁長官を辞任した先月9日以来。
この日は午前に参院で8会派が質問に立ち、午後からは衆院で7会派の議員が質問に立ち、それぞれ持ち時間は2時間。