新型コロナウイルスの深刻化で、中小企業や個人事業主、非正規雇用者などに危機感が広がっている。日本政策金融公庫の「新型コロナウイルスに関する特別相談窓口」には、2月21、25日の2日間だけで約700件もの相談があった。資金繰りを心配する人などが相談しているという。

経産省は今回、中小企業・小規模事業者向けにセーフティーネット貸付の要件を緩和。従来の売り上げ5%減、利益5%減などの数値要件を撤廃し、新型ウイルスの影響を申告すれば融資相談できるようにした。同公庫は2月14日に特別窓口を開設。20日までに約1300件の相談を受けた。

21日からはインバウンド激減などの影響が広がる旅館業、飲食店、喫茶店などを対象に、別枠で1000万円(旅館業3000万円)まで融資を受けられる「衛生環境激変特別貸付」を開始したが、さらに相談が急増し計2000件を超えたという。今週末には「休日電話相談」も実施することにした。北海道銀行、和歌山の紀陽銀行など地銀でも、相談窓口や融資の設置が相次いでいる。

労働組合のジャパンユニオンは、2月24日から「新型コロナウイルス関連集中労働相談」を開設。27日時点で計約100件の相談があるという。「契約社員には何の賃金保証もない。症状が出ても安心して休めない」「上司が毎日、感染者が出たらクビだ、会社も業界から追放されると脅してくる」「海外旅行から帰って2週間休むよう言われたが、その間の賃金支払いはない」「職場でマスクをつけさせてくれない」などの声が寄せられているという。菅野存委員長は「休むほど困る人がいることも分かってほしい。さらに深刻化して、雇用が削られるフェーズにならないか心配」と話している。