自民党総裁選(10月4日)の候補者討論会が24日、東京都内の日本記者クラブで開かれ、小泉進次郎農相(44)が重鎮記者から「慎重居士」ぶりを指摘された。党内融和のため、昨年の目玉公約を封印する姿に「まだ44歳なのに、そんな慎重過ぎてどうする」と指摘された。昨年の同討論会での発言などを機に失速。「鬼門」の場では、進次郎氏に他候補から質問が集中する場面もあった。ただ全体的には足の引っ張り合いより党内融和優先か、バチバチの候補者間バトルはみられなかった。
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改革路線を訴えた昨年の総裁選から一転、一致結束に向け、党内で意見が割れるテーマは封印した進次郎氏に、ベテラン記者が苦言を呈した。テレビのコメンテーターでも知られる読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏は、小林鷹之・元経済安保担当相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗・前経済安保担当相(64)、進次郎氏との質疑応答で、進次郎氏に「今回は非常に慎重だ。『進次郎らしさ』とは、異論があっても信念を通すことだがすっかり影を潜めた」と指摘し、「慎重なのは、首相の座に近づいたからですか?」と切り込んだ。
進次郎氏は、今回政策に盛り込まなかった選択的夫婦別姓制度に自ら言及し「自民党内の議論で結論は出ず、野党も1つの案でまとまっていない」とした上で、国民が優先的に求めているのは物価高対策や外国人の増加による治安への不安だとして、「そういう判断をしていると、丁寧に説明したい」と述べた。選択的夫婦別姓に関しては、別の記者からも「1年で取り下げるのか」と指摘された。
一方、橋本氏はさらに、「他の候補はほとんどペーパーを見ないが、何度もペーパーに目を通している、相当慎重にやらないとということでしょうが、まだ44歳でしょ? そんなに慎重すぎてどうするんですか」と、愛ある「喝」を投げかけた。
橋本氏と仕事を通じた交流もある進次郎氏は、「年齢ではなく、責任ある立場では適切な慎重さは兼ね備えるべきだと思う。紙を読んだからといって、自分の言葉ではないというわけではない」と淡々と応じたが、同討論会は「鬼門」でもある。昨年の同討論会で、総理総裁になった場合、G7サミットでどんな発信をするのか問われ、開催国カナダのトルドー首相(当時)の首相就任時と自身の年齢の共通点に触れるなど、十分な受け答えができなかったとして、その後の失速を招く一因となった。
論戦力に不安があるとみられてきた進次郎氏に対しては、討論会冒頭で行われた候補者間の質疑で、茂木氏以外の3人から質問が集中した。林氏と高市氏は、進次郎氏が出馬会見で、物価高対策やインフレ対応型の新たな経済運営を目指す考えを示し、2030年度までに国内投資135兆円、平均賃金100万円増を目指す考えを示したことに触れ、小林氏はエネルギー政策について問うた。
進次郎氏の回答内容に必ずしも納得できていない部分も、3人それぞれに見受けられたが、自身の主張との共通点を示すなど、あからさまに対立姿勢を示した候補はいなかった。
9人が出馬した昨年の総裁選は、討論会でも候補者間のバチバチ感がにじんだが、今回は少数与党下でだれが総裁になっても、今後の党内融和に腐心する必要があるためか、テレビ番組の候補者討論を含め、候補者間で対決姿勢に踏み込むケースには至っていない。
5候補は討論会後、自民党の「聖地」秋葉原で、街頭演説。一致結束での出直しをアピールした。【中山知子】

