安田記念は展開が鍵を握りそうだ。
大阪杯を逃げ切ったジャックドールの参戦でタフな流れは必至。水島晴之の「G1の鍵 その一瞬」はマイラーズC2着で距離適性を示したガイアフォース(牡4、杉山晴)に注目する。中・長距離で鍛えた心肺機能の高さが、東京マイルで生きるか。
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ガイアフォースは中距離で結果を残してきた。2勝目となった国東特別(小倉2000メートル)を1分56秒8のレコードで制すと、続くセントライト記念(中山2200メートル)ではアスクビクターモアを競り落とした。さすがに菊花賞は距離が長く伸びを欠いたが、心肺機能の高さは証明済みだ。
これまで先行して粘り込む競馬が多く、瞬発力には物足りなさもあった。2走前までの最速上がりは34秒3。ところが、前走マイラーズCでは4角9番手から馬群を割って自己ベストの33秒2をマーク。シュネルマイスターの首差2着に食い込んだ。距離を詰めて控えれば、これだけの脚が使える。新しい一面を引き出せたのは収穫だ。
初めてのマイル戦、前半3ハロン34秒4の速い流れを克服。馬なりでついて行って、しまいも伸び負けしなかった。あの一戦だけでも距離適性の高さは感じられる。また、母父クロフネは東京マイルでNHKマイルCを制し、ダートの武蔵野Sでは2着に9馬身差をつけた。血統的な魅力も大きい。
今回は一流のマイラーがそろい、前走以上に相手も強くなる。その中で「よーい、ドン」の瞬発力ではやはり分が悪い。ただ、今回はジャックドールがある程度のペースで引っ張ることが予想される。実力馬が行けば後続の有力馬も早めに動かざるを得ない。そうなれば最後は消耗戦。これまで中距離で培ってきたスタミナ、勝負根性が生きる。
しかも週末は雨の予報が出ており、道悪になればより「パワー型」有利の傾向に拍車がかかる。重馬場ではあずさ賞2着があり、かき込みの強いフットワークからも巧者とみていい。前走で「新境地」を開いたガイアフォースの大駆けにかけてみる手はある。
■最後の直線粘り合いか
【ここが鍵】
大阪杯(阪神芝2000メートル)のジャックドールは前半1000メートルを58秒9で飛ばした。さらに半マイル過ぎから11秒台を5回連続でたたき出すなどペースを落とさずに後続の追い上げを振り切った。瞬発力よりスピードの持続力で勝負するタイプ。そのあたりは武豊騎手も心得ており、初のマイル戦でも積極的にレースを動かしていくはず。そうなれば、最後の直線は粘り合いになる可能性が高い。スピード、切れだけでなく、中長距離をこなせるスタミナ、パワーも必要になってくる。
■ジャックドール 平均やや速め、後続封じる形
初めてのマイル戦のジャックドールだが、スピード負けはしない。控えても競馬はできるが、昨秋の天皇賞・秋のように2番手以下がスローペースの決め手比べでは、切れ負けしてしまう。やはり「平均やや速め」のマイペースに持ち込んで、後続の脚を封じる形が合う。武豊騎手がどんなペースをつくり出すのか。名手の手綱さばき次第で残り目はある。
■ソウルラッシュ パワータイプ、馬場が渋れば
ソウルラッシュはマイルCS4着(0秒3差)があるように、G1でも勝負になる。ただ勝ち切れないのは、瞬発力が少し足りないからだろう。常に33秒台の脚は使えるが、どちらかといえばパワータイプ。タフな流れや少し時計のかかる馬場が合う。やや重~重は【3001】と得意にしており、馬場が渋った方がよりチャンスは広がる。
■メイケイエール 本来はマイル、速い流れ歓迎
メイケイエールは久しぶりのマイル戦になる。折り合いが難しく1200メートルを中心に使っているが、跳びは大きい方で本来はマイルくらいが合う。前半、いかに気持ちよく追走できるかだが、流れが速くなりそうなのは歓迎だ。馬の後ろでスムーズな競馬ができれば、昨年の京王杯SCの再現があっていい。あとはヴィクトリアMを自重した影響がどう出るかだ。