愛する馬とともに-。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は大阪・原田竣矢記者が、日高の馬にこだわりを持つ昆貢調教師(67)を直撃した。TBS系日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」の影響もあり、注目を集める日高の馬。自らの信念を貫くダービートレーナーの思いに迫った。

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新ひだか町、浦河町、新冠町、日高町…。昆厩舎には、日高地方にルーツのある馬が並ぶ。もちろん他の厩舎にも日高産の馬はいるのだが、昆厩舎の場合、現在の管理馬は外国産の2頭を除くすべてが日高の馬なので珍しい。日高の馬にこだわる理由は? 昆師が思いを明かしてくれた。

「社台グループが強くなりすぎちゃったんです。日高にもちゃんと走る馬がいるんですよ。大物食いをしたいんです」

1年を通して北海道へ足を運び、ホープを探す。特に夏は牧場回りとセリへの参加を繰り返し、数え切れないほどの馬を見つめる。開業26年目でも変わらずエネルギーがあふれ出る理由はただ1つ。「自分で馬を探してG1を取るのが夢だったんです。原石を見つけるのが面白い。ダイヤモンドになる前だから面白いんですよ」と声を弾ませた。

08年にはディープスカイでNHKマイルCと日本ダービーを制覇。09年にはローレルゲレイロで高松宮記念とスプリンターズSを、11年にはヒルノダムールで天皇賞・春を勝利した。日高の馬で、数々のビッグタイトルを取ってきた。「自分の成績を出すためじゃなくて、この馬をどう助けてあげられるのかを考えます。小さい時から選んでいるから愛着がわいてかわいいんです」と愛馬の未来のためにも結果を追い求める。

師自身は78年に騎手デビュー。99年からは調教師の立場で馬と向き合ってきた。ベテランだからこその信念があり「技術を磨いていかないと。積み重ねだから、これは。失敗したり成功したりの積み重ねがあって『こういう馬がいたら、こういう流れでやろう』と考えてやることがすごい大事なんじゃない」。8月の札幌記念では、トップナイフ復活のために膝のお皿、膝蓋(しつがい)を手術。これが奏功し、スタートが改善され、約3年ぶりの勝利を果たした。長年の経験が思い切った判断を可能にした。

現在67歳。調教師としての限られた時間で、かなえたい願いがある。「あと3年ちょっとしかないけど、怪物みたいな馬に出会いたい。そうなれば調教師冥利(みょうり)に尽きる。定年がなかったら、あと10年ぐらいやりたいぐらいですよ(笑い)」と瞳の奥はキラキラと輝き続けている。【原田竣矢】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)