<チャンピオンズC>◇3日=中京◇G1◇ダート1800メートル◇3歳上◇出走15頭

逃げ切ってチャンピオンズCを制したレモンポップ。左は追い込んで2着に入ったウィルソンテソーロ
逃げ切ってチャンピオンズCを制したレモンポップ。左は追い込んで2着に入ったウィルソンテソーロ

若いジョッキーの「思い切り」が印象的でした。まず1人はもちろん、勝った坂井瑠星騎手。初の1800メートルで大外枠に入ったレモンポップをどう導くのか、注目していました。

スタートを決めると、迷わずハナへ。最初のコーナーで、もう内ラチ沿いを回るほど思い切った「逃げ」の手でした。ラップを見ると、2ハロン目だけが11秒0と抜けて速く、あとはすべて12秒台。あの加速で逃げる意思を示し、同型馬の仕掛けを止めました。

前走の南部杯を逃げ切った経験が大きかったと思います。それまでは好位抜け出しばかりでしたが、逃げ切りで大差勝ちしたことで、戦法の選択肢が増えていました。逃げることになっても大丈夫、という安心感が坂井騎手にはあったでしょうし、だからこそ思い切ってスタートから出して行けたのだと思います。

距離はギリギリかもしれませんが、コーナー4つに関しては、私は全く心配していませんでした。中には手前を替えるのが苦手で、逆手前でコーナーを回ってふくらんでしまう馬もいますが、そういう馬はなかなかG1まで駒を進められません。実際、レモンポップは4回のコーナーを上手にスピードを落とさず回り、逃げ切りました。今後どんなレースを選択するのか楽しみですし、坂井騎手とのコンビでさらなる活躍を見せてくれそうです。

レモンポップでチャンピオンズCを逃げ切りファンに向けてガッツポーズする坂井騎手(撮影・白石智彦)
レモンポップでチャンピオンズCを逃げ切りファンに向けてガッツポーズする坂井騎手(撮影・白石智彦)

もう1人、2着ウィルソンテソーロの原優介騎手も思い切った騎乗が光りました。後方追走から繰り出した上がりはダントツの36秒6。もともとDG競走を上がり最速で3連勝するほど決め手のある馬ですが、G1の大舞台、それも初コンビで、その末脚を余すことなく引き出しました。1、3、4着馬が先行勢ですから、後ろの馬には不利な流れの中、1頭だけ差し込んだ内容には拍手です。外国人騎手のハイレベルな騎乗も見応えがあっていいですが、日本の若手騎手の活躍はなんともうれしいものです。(JRA元調教師)

2着7番ウィルソンテソーロ(撮影・森本幸一)
2着7番ウィルソンテソーロ(撮影・森本幸一)
レモンポップでチャンピオンズCを逃げ切り人さし指を天に突き上げ勝利をアピールする坂井騎手
レモンポップでチャンピオンズCを逃げ切り人さし指を天に突き上げ勝利をアピールする坂井騎手
笑顔で握手する坂井騎手(左)とプレゼンターの長澤まさみ(撮影・白石智彦)
笑顔で握手する坂井騎手(左)とプレゼンターの長澤まさみ(撮影・白石智彦)
レモンポップの口取りで関係者の掲げるレモンを見る坂井騎手(左)(撮影・白石智彦)
レモンポップの口取りで関係者の掲げるレモンを見る坂井騎手(左)(撮影・白石智彦)
レモンポップでチャンピオンズCを制した坂井騎手はヒーローインタビューに答える(撮影・白石智彦)
レモンポップでチャンピオンズCを制した坂井騎手はヒーローインタビューに答える(撮影・白石智彦)