さらなる飛躍に期待-。日刊スポーツ新聞社制定、日本中央競馬会が協賛する22年「中央競馬騎手年間ホープ賞」に、関西は今村聖奈騎手(19=寺島)が、関東は横山琉人騎手(19=相沢)が選ばれた。今村騎手はルーキーイヤーの昨年にJRA51勝。JRA女性騎手の年間最多勝を大きく更新し、武豊騎手や福永騎手に続く史上5人目の新人50勝を達成するなど大活躍の1年だった。両騎手とも23年はさらなる躍進を果たしそうだ。

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情熱あふれるスーパールーキー今村聖奈騎手が競馬界の新時代を築こうとしている。昨年3月にデビューすると、あれよあれよと勝ち星を積み重ね、10月23日には44勝目。JRA女性騎手の年間最多勝記録を更新した。最終的に1年目はJRA606戦で51勝。「こんなにうまく、コンスタントに勝たせていただけるとは、想像していませんでした」。自身の予想をも超えたルーキーイヤーだった。

大きなインパクトを残した昨年を振り返り、今村騎手は“恵まれた1年”と表現する。デビュー前にはなるべく2桁勝てたら…という青写真を描いていたが、女性騎手の最多勝記録更新は頭の片隅にあった。

「それをはるかに超えられたのは、周りの方のサポートがあったからです。馬にも人にも環境にも恵まれていました」

7月のCBC賞ではテイエムスパーダで鮮やかに逃げ切り、重賞初騎乗初勝利を達成。一躍、名をはせたレ-スだが、この勝利には巡り合わせがあった。「本当は北海道に行く予定だったんです」。その話が出た4月は勝ち星がゼロ。夏の北海道シリーズには減量騎手やトップジョッキーが多く参戦することもあり、自ら寺島師に栗東残留と夏の小倉参戦を志願した。自身が最も活躍できる場所はどこか、勝利にこだわる姿勢がここからもうかがえる。

月日を重ね、経験を積むことで競馬への考え方も日々更新してきた。「1頭1頭に向き合いながら“根掘り葉掘り”考えます」。馬場の傾向や馬の脚質、ペースなど、全てに神経を研ぎ澄ませながら、馬をリードするようになった。

日刊スポーツ制定のホープ賞も受賞し、さらに期待される2年目はどんな年になるのか。「深みのあるレースをしたいですね。1戦1戦、馬と向き合って、存在意義をしっかり発揮したいです」と宣言。「けがなく、たくさんの人に信頼されて、応援してもらえるジョッキーになりたいです」。デビュー当時から目標とする騎手像に、今年もまた1歩、2歩と近づいて行く。【下村琴葉】

◆今村聖奈(いまむら・せいな)2003年(平15)11月28日、滋賀県生まれ。JRA騎手だった父康成さん(現調教助手)の影響で騎手を目指す。栗東・寺島厩舎所属で22年3月5日の阪神1R(リンギングフォン=8着)でデビュー。同13日阪神8Rブラビオで初勝利。7月のCBC賞ではテイエムスパーダでJRA重賞初騎乗初勝利。1年目のJRA通算成績は606戦51勝で、JRA女性騎手の年間最多勝記録を更新(従来は藤田菜七子騎手の43勝)。新人騎手の50勝突破は加賀武見、武豊、福永祐一、三浦皇成に次いで史上5人目。中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞)受賞。座右の銘は「人馬一体」。

◆JRA騎手ホープ賞・関西 若手騎手の育成と将来の活躍を期待して07年に創設。対象はデビュー10年未満、上限30歳まで。G1や重賞実績、勝利数などを参考に、1年で最も活躍した関西所属の若手騎手1人を選出。受賞騎手には50万円が贈られる。関東は02年創設。