<ラジオNIKKEI賞>◇29日=福島◇G3◇芝1800メートル◇3歳◇出走14頭
4番人気エキサイトバイオ(牡、今野)が直線で馬群を割って抜け出し、重賞初勝利を飾った。
管理する今野貞一調教師(48)は厩舎開業14年目、JRA重賞のべ92頭目の挑戦で、待望の初タイトル。開業前から取材をしてきた伊嶋健一郎記者が「とっておきメモ」を披露する。
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「いまだにカレーのこと、言われますよ」。今野師は会うたびに笑ってそう言う。カレーのこととは、以前に記者が書いた記事。もう14年も前の記事だ。
今野師は、あの難関といわれるJRA調教師試験をわずか2回目の受験で突破した。調教師を志してから合格までのその2年間、毎日続けたことがある。
「昼食にカレーを食べ続けました。尊敬するイチロー選手(当時)がカレー好きというそれだけなんですけど(笑い)。厩舎の仕事(当時は調教助手)を終えて、カレーを食べて、勉強する。イチロー選手のように同じことを毎日繰り返し、準備することが大事だと思いましたから」
ルーティンを大切に、常に準備する。当時貫いた信念は、今も師の芯となっている。だからこそ、結果に一喜一憂しない。JRA重賞挑戦は今回がのべ92頭目。過去、2着は8回もあった。なかなか勝てない状況に心穏やかでない時もあったはずだが、まったく見せなかった。
エキサイトバイオが抜け出したゴール前、会社のテレビで見ていた記者は思わず声が出た。「いけ!」。印は▲だが、本命馬が追い込んできていた(4着)のもあり、力が入った。
しかし、現地・福島競馬場にいた今野師は違った。「声も出ず、無音でした笑」。いつも通りの今野さんだった。
師の座右の銘は「見ている人は見ている」。誰に見せるわけでもない。コツコツと自身の仕事を重ねてきたすえの初タイトルだった。【中央競馬担当=伊嶋健一郎】
◆今野貞一(こんの・ていいち) 1977年(昭52)4月24日、大阪府八尾市生まれ。大学在学中、20歳を過ぎてから初めて乗馬を体験し、競馬の世界を志す。卒業後に牧場勤務、競馬学校をへて05年に栗東・大久保龍志厩舎で厩務員、調教助手。その後、宮本厩舎に移り、11年に調教師免許取得。受験2年目のスピード合格で33歳という若さだった。12年3月に厩舎開業。JRA通算成績は3079戦244勝(6月29日終了現在)。

