13年目の巨人丸佳浩外野手が、キャリア3度目の6打点をマークし、原監督の節目の勝利を祝福した。 第1打席に先制の2号3ランで口火を切ると、4点リードの5回には3号2ラン。7回にも適時二塁打を放った。

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巨人丸のバッティングを若い選手はよく見て感じてほしい。1本目の本塁打は技術が詰まっていた。上体は泳がされていたが、変化球を見事に拾っている。おそらく丸は直球にタイミングを合わせていたと思うが、変化球に対応した。

体勢を崩されていながらあれだけ飛距離が出るのは、打つポイントが体から離れているから。ミートポイントまで距離があるからヘッドスピードが出ており、そのためタイミングは外されても、パワーがボールに伝わっている。これは、前日の試合で坂本が大野雄から奪った先制ソロと同じで、技術的に高い。

プロ野球では、なかなか自分のタイミングでの完璧なスイングはさせてもらえない。多くの場合は、2ストライクと追い込まれたケースや、この日の丸のように直球を待ちながら変化球に対応するなど、食らい付く技術が求められる。

つまり、日ごろの練習からタイミングを外されることを念頭に振り込んでいないと、試合では対応できない。丸や坂本がこの連戦で見せた内容は、まさに巨人の若手選手が見習うべき内容と言える。

打者というのは、変化球を続けられると、どれだけ直球に狙いを絞っていても、無意識のうちに体は変化球のタイミングになってしまうものだ。逆もしかり。一瞬の判断、体の反応で対応するには、状況に応じたスイングを想定して、体に刷り込むほど振り込まないと自分のものにはできない。

中日バッテリーからすれば、狙いを外す配球をしながら、拾われたことで余計にショックが残る。吉見は制球が生命線も、この日はキレがいまひとつ。その中で初回に奪った一打は、3点以上のダメージを与えた。(日刊スポーツ評論家)