来日初登板したケラーは「投げられたこと」が最大の収穫です。6日に来日して、5日前の10日にチームに合流したばかり。力みが出る初実戦だったことも考慮すれば、1回無失点は上々の結果と言えます。

少し気になった点をあげれば、最速148キロの直球10球がすべてベルトより上に集まり、空振りが取れなかったこと。ただ、登板を重ねていけば直球の強さ、制球力は上がってくるでしょうから、まだ心配する段階ではないと思います。

最大の武器といえるカーブは、19年にセットアッパーとして大活躍したジョンソンの「パワーカーブ」とは違った印象を受けました。ジョンソンのカーブは直球の軌道から角がある曲がり方。ケラーは1度浮き上がってから落ちる、曲がり幅が大きなイメージです。

6回2死一塁では真ん中付近のカーブで8番上林を空振り三振に仕留めました。あのボールをベース板に落とせるようになれば、空振りを奪える確率はさらに上がりますし、高めの直球もより効いてくるはずです。何はともあれ、空振りを取れる球種がある。それだけでも守護神への適性は十分にあると考えられます。

一方、ブルペン陣では及川が右脇腹負傷で開幕に間に合わなくなったそうです。すでに岩貞も左太もも裏の負傷で2軍調整中。現状、開幕1軍が確実となっているブルペン陣の左腕は岩崎のみとなりました。

延長12回制に戻る今季、複数イニングもこなせる左腕の及川がいるといないとでは、ブルペン編成に大きな違いが出てきます。「先発の枚数が足りていれば」という前提にはなりますが、スタミナがあり左打者を苦にしないルーキー左腕桐敷を先発から中継ぎに配置転換する案も、今後の一手となりそうな気がします。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対阪神 6回裏ソフトバンク2死一塁、ケラーは上林に投球する(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 6回裏ソフトバンク2死一塁、ケラーは上林に投球する(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 6回裏ソフトバンク2死一塁、上林は空振り三振。投手はケラー(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 6回裏ソフトバンク2死一塁、上林は空振り三振。投手はケラー(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 ケラーの投球連続写真4(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対阪神 ケラーの投球連続写真4(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対阪神 ロープで身体を動かすケラー(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 ロープで身体を動かすケラー(撮影・加藤哉)