野球の国から

カーブには「加工」のしがい 様々な曲がり方出せる

<小谷の指導論 ~ 放浪編25>

巨人の菅野智之が開幕から13連勝した。「連勝できる投手」として、4つの条件を挙げたい。

小谷正勝氏(19年1月18日撮影)
小谷正勝氏(19年1月18日撮影)

<1>加工球

<2>球威

<3>コントロール

<4>駆け引き

“四位一体”なら、相手や多少の好不調に影響されず、チームに大きな貯金を運べる。特に108あるボールの縫い目に意思を込め、空気抵抗→回転→軌道と意のままに操れる「加工球」を持っていると、勝つ可能性はグッと高まる。

加工球は「相手が『くる』と分かっていても打ち取れる球」と言い換えられる。菅野の場合はスライダーが該当する。速球の軌道で進んでいき、打者の直前で真横に大きく曲がる。打者からすれば、途中までは真っすぐに見え、振り始めたらボールが逃げていくようなイメージではないか。<2>~<4>も抜群なのだから、非常にやっかいだ。

スライダーは時代とともに考え方や使い方が変化していった球種である。

50年以上前、自分の学生時代は「スライダーは投げるな」とまで言われた。「真っすぐのスピードが落ちるらしい」というのが理由だった。手首の動きを殺し、ボールを横滑りさせる。曲がり幅で言えば5センチほど、今のカットボールに近い軌道。現代、多くの投手が投げるスライダーとは違った。右投手と右打者なら、打っても打っても打球は一塁側のスタンドに飛ぶ。いわゆるカウント球だった。

現役時代、勝負球にもカウント球にも使ったのがカーブだ。角度、幅、球速、変化量をアレンジでき、さまざまな曲がり方を出せる。「加工」のしがいがある球種だと思う。

(1)縦に曲げる(ドロップと呼ばれる)

(2)肩口から外角低めへ大きく斜めに曲げる

(3)小さく鋭く曲げる

さまざまあるが、全身を使いながら、真っすぐと同じようにして投げることは共通している。そこから手首のひねり、指先の感覚と曲がり出し、曲がり幅の関係性、距離感を突き詰めていく。

「抜けた」と表現する人がいるが、カーブは決して抜けないボールだ。ただ、引っ掛けることはある。繰り返すが、大事なのは抜くことではなく、真っすぐのように投げることだ。

曲がる幅さえつかめば、さまざまな状況で使える。例えば右投手なら、右打者に対し追い込んだ後に、インコースからボールになる球を投げれば、相手への威嚇にだってなり得る。

カーブとは逆に、シンカー系は加工を施しやすい球種だ。なぜなら、体、肘、手首、指先の使い方が真っすぐとほぼ同じ順で、やや押し込み気味にボールを投げればいいからだ。現ヤクルト監督の高津臣吾は、随一の使い手だった。

菅野のスライダーを起点とし、代表的な3球種の加工を整理してみた。(つづく)

◆小谷正勝(こたに・ただかつ)1945年(昭20)兵庫・明石市生まれ。国学院大から67年ドラフト1位で大洋入団。通算24勝27敗6セーブ、防御率3・07。79年から投手コーチ業に専念。11年まで在京セ・リーグ3球団でコーチ、13年からロッテ。17年から昨季まで、再び巨人でコーチ。

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