1年で一番好きな初夏だが5月はおカネがかかる。ボロ家にもそれなりの固定資産税は来るし、生意気にクルマもあるので自動車税も来る。その他の支払いもあるし、頭が痛い。ためるのは大変だけど出ていくのはあっという間なのがおカネ。よほど気を引き締めていかないとダメなのだ。

くだらない懐事情とは違うけれど阪神の貯金がなくなった。17日にあった今季最多の貯金3が甲子園で広島相手に3連敗を食らって、あっさりはき出した。この貯金3をためるのにどれだけ苦しい戦いをしたか。それを思えば厳しいな、というのが実感だ。

一時は阪神より下にいた広島がいよいよ地力を発揮してきた。悔しいが打力も守備力も阪神より上なのは否定できない。これで7連勝。3連戦前は阪神と同じ3だった貯金もこれで6になった。完全に戦闘態勢が整った様子。ハッキリ言って今月中の首位浮上は間違いない、と見ている。だが指揮官・緒方孝市は当然のごとく浮かれていない。試合前に少し話したが、そんな見立てを鼻で笑った。

「何言うとるんですか。まだ5月ですよ。交流戦もあるし。どうなるか分からん。だからまずは5割をキープしないと。そう、いつも言ってるじゃないですか」

以前にも少し書いたが監督として勝っている経験がある人ほど「5割死守」という話をする。もっともその印象が強かったのが20年以上前にオリックスで取材した仰木彬だった。いつ聞いても「まず5割やな」と繰り返した。逆に言えば終盤まで5割で行けば一気にまくり上げる自信があったということかもしれない。

この5割というのは因果な数字だ。貯金1なら負けて5割なのだが、ちょうど5割なら1つ負けて借金1になる。そこから負けると5割に戻すのに連勝が必要になってくる。当たり前の話なのだが、これがきつい。だから3連敗は避けなければならないのだが、阪神はこれで今季3度目の同一カード3連敗となった。

「やっぱり強いですね、広島は。でも3連敗したので次はやり返すつもりで」。ヘッドコーチ清水雅治はそんな話をした。広島との次の対戦は今月末からのマツダスタジアム3連戦だ。これは阪神にとって交流戦前最後のリーグ戦のカードでもある。そこまで5割をキープできれば終盤のAクラス入りへ向けて何とかなる。そんな思いでいるのだが…。(敬称略)

阪神対広島 阪神に3連勝し拍手でナインを迎える緒方監督(撮影・加藤哉)
阪神対広島 阪神に3連勝し拍手でナインを迎える緒方監督(撮影・加藤哉)