常葉学園橘(静岡1位)が、連日のサヨナラ勝ちで8年ぶり2度目の優勝を飾った。延長12回裏、山野翔太郎外野手(3年)が右前打を放ち、県岐阜商(岐阜1位)を6-5で破った。3回までに0-5とリードされながらの大逆転V。先発が打たれてもリリーフが抑え、盛り返せる総合力は目を見張る。夏の県大会でも主役になりそうだ。

 延長12回裏1死一、二塁、山野が迷いなく初球をフルスイングした。打球は右翼線に落ち、二塁走者の長倉朋哉(3年)が生還。たちまち歓喜の輪が広がった。

 山野 うれしいです。絶対にいいところで回ってくると信じていました。自分で決めてやるという気持ちでした。

 4番に座った県中部地区大会では結果が出ず、チームも準々決勝で敗れた。県大会から3番になると、打率2割7分5厘と復調の兆しを見せた。「4番の時は『打たなきゃ』というイメージが強かったけど、3番になってからはとにかく塁に出ることを考えています」。気持ちに余裕が生まれ、本来の勝負強さを取り戻した。今大会は3試合連続安打、10打数6安打の大暴れだった。

 初戦の美濃加茂戦では小林宗弘(3年)が決勝打、準決勝の津田学園戦では高沢誠二郎(3年)がサヨナラ打。日替わりヒーロー誕生は、チーム総合力向上の証しだ。この日も甲子園常連の県岐阜商に3回まで0-5とリードされたが、誰ひとり諦めていなかった。2番手で登板した鈴木楓(2年)が、初体験の3連投で5回1/3を無失点。5回裏には適時打を放ち、反撃のきっかけをつくった。小林正具監督(53)も「今までなら、そのまま大差で負けてしまう展開。この大会で一番成長したのは彼(鈴木楓)かもしれませんね」と目を細めた。

 9回途中からはエース谷脇亮介(3年)が3戦連続でリリーフ登板した。前日は144キロを出しながらも失点したことを反省。制球重視で3回2/3を無失点でサヨナラにつなげた。

 8年ぶりの東海制覇に小林監督は「この優勝は夏に向けて何よりの経験です」と言った。4年ぶりの甲子園出場を懸けた夏の県大会には、第1シードで臨む。この日よりも大きな喜びを手にすべく、今日から準備に入る。【鈴木正章】