新潟明訓(新潟1位)は高岡商(富山2位)に2-3で敗れ、07年以来の決勝進出はならなかった。3回から2番手で登板した背番号1、高津大嗣(3年)が4イニングを1失点でしのぐ好投。1-2の7回表1死三塁からは、1番部田(とりた)隼平(2年)が同点の右前適時打を放つなど、流れをつかみかけたが、7回裏に勝ち越された。

 接戦での敗退の中、エースが粘りの投球でナインを刺激した。「いけるところまでいくつもりだった」。3回裏に登板した高津は、集中しながら6回までを3安打1失点でしのいだ。

 先発の遠藤竜一(3年)が2回で4四死球の1失点と乱調。「流れを変えるのが役目」。高津は代わった当初に2安打で1点を失うが、大崩れはしない。右横手から繰り出すストレート、シンカー、カーブ、スライダー。投じた56球で持ち球をすべて使った。

 4回裏は先頭打者に2段モーションの「反則投球」を取られ、結果的に四球で出した。ただ、その後は慌てることなく無失点。5回裏はシンカーを低めに集め、両チーム唯一の3者凡退に切って取った。

 北信越大会前、東京ヤクルト投手コーチの父臣吾氏(47)と電話やメールのやりとりをした。「チームにとっても自分にとっても大きな大会になる。頑張れ」と激励された。「本当に励みになりました」と父の言葉にマウンドで応えた。

 春季県大会は決勝で初登板。2番手で2回を3安打4四死球で5失点と不調だった。体調不良のため投球練習が不足していたことが響いていた。

 県大会後、メトロノームを使ってフォームの確認や走り込みを行い、自分の動きのリズムをつくる工夫をした。投げ込みも毎日30分ほど行った。この春に背負った背番号「1」。「投手陣を引っ張っていかなければ」。そんな気持ちを行動に移して臨んだ北信越大会。目標の優勝には届かなかったが、「収穫が多かった」と言い切った。

 追いついた直後の7回裏に、勝ち越しを許した。本間健治郎監督(41)は「投手陣は全体的に球数が多い。立ち上がりに点を取られている」と、夏に向けての反省点を挙げた。高津はそれを受けとめた。「投手陣で力をつけて夏に臨む」。エースとしての自覚は、大きな武器になる。【斎藤慎一郎】