昨秋4強の札幌日大が、富良野を9-6で下し、2年連続で開幕戦を制した。奥沢完偉主将(3年)を中心に、富良野の最速143キロエース鵜沼巧投手(3年)を研究。4月の練習試合と27日の公式練習のデータから特徴を割り出し、高めのボール球を見極めることで、四死球11、9安打9得点と効果的に攻略した。

 じわじわ追い詰めた。2点先制された直後の1回2死一、二塁、5番奥沢は1ボール2ストライクと追い込まれながら、低めの変化球に食らいついた。「追い込んだら変化球が来るなと。思い切って引っ張りました」。左前適時打で1点を返すと、2回に3点を挙げ逆転、4回に4四球を絡め、2安打で4点たたき出し、突き放した。

 相手は地区3試合26イニング31奪三振の鵜沼。4月の練習試合で、5安打2得点と攻めあぐねていた。前日27日午前の公式練習で投球をチェックし、さらに午後は高校に戻って、奥沢を中心に緊急選手ミーティングを実施した。「球が荒れていて直球の制球が定まっていない。高めに外れる球には手を出さないように」。伸び上がる直球を見極め、2回まで相手エースに72球投げさせ疲労を誘い、4回降板時で既に125球を投げさせていた。

 何かに徹しないと頂点に立てない。昨秋は、準決勝で優勝した駒大苫小牧に延長12回の末、サヨナラ負けを喫した。その試合で奥沢は5安打2打点を挙げたが、勝てなかった。「最後に勝つという気持ちが自分たちには足りなかった」。2月に右膝関節障害の手術を受けた。崖っぷちからはい上がって臨む雪辱の春。中途半端な戦いは、絶対にしたくなかった。

 この日2安打2打点。昨秋から円山で12打数8安打4打点、打率6割6分7厘と打線をけん引している。秋場拓也監督(29)は「ここぞでの責任感が増した」と言う。円山好きの主将を軸に泥臭く、徹底した準備で好投手を攻略。勢いに乗って、初の春王座を狙う。【永野高輔】