昨夏、静岡大会8強の掛川東は、主将の八木武琉内野手(3年)が最後の夏に間に合った。4月14日に右手親指を開放骨折する大けがを負ったが、今月に入って全体練習に合流。実戦にも復帰し、背番号11で20人の登録メンバー入りを果たした。昨年の快進撃を上回る「4強以上」の目標に向け、チームをけん引する。

 日が沈みかけたグラウンドでノック受ける掛川東ナインの中に、懸命に白球を追う八木主将の姿があった。「正直、メンバーから外れると思っていました。ほっとしています」。最後の夏に間に合った喜びをかみしめながら、開幕に向けて準備を進めている。

 4月14日。東京遠征中に行われた練習試合で、右手親指を開放骨折した。緊急手術を受け、患部には練習中に飛び交う声だけでも痛みが走った。夏の出場が危ぶまれたが、「つらかったです。でも、最後の大会。諦めずに、できることをやろうと思いました」。4週間後、患部に入っていた針金が外れると、復活だけを信じてリハビリに励んだ。

 毎日3~4キロの走り込みを行うなど、低下していた体力を必死に戻した。今月12日に練習から完全合流を果たし、同17日の岐阜遠征では練習試合に代打で出場。開幕を約1カ月前にして、実戦をこなせるまでになった。

 初めてシード権をつかんだ昨年は、過去最高の8強に駒を進めた。今夏は、その先輩たちを超える「4強以上」が目標。八木は「メンバーに入ったからには、チームの勝利が最優先。試合に出られなかったとしても、悔いが残らないようにやり切りたい。自分が先頭に立ってチームを勢いづけていきたい」と、語気を強めた。

 まずは、城南静岡との1回戦に臨む。目標達成への勢いをつけるべく、帰ってきた主将が全力でチームを鼓舞する。【前田和哉】