「盛付(もりふ)劇場」の役者がそろった。第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に2年ぶり5度目出場の盛岡大付(岩手)が20日、出場32校の大トリで甲子園練習を行った。右足首捻挫で離脱していた岡田光輝外野手(3年)が復帰し、1週間ぶりのフルメニューに合流。昨夏の新チーム結成から、故障者が続いて主力の誰かを欠く状況だったが、初めてベストメンバーでの公式戦にメドが立った。背番号通りの先発オーダーで、25日の石岡一(茨城)戦に臨む。

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背番号9の元気な声が甲子園に響き渡った。岡田が軽快にシートノックをこなし、本塁には矢のような送球。シート打撃では2度打席に立ち、軸足の右足から痛みが消えたことも確認できた。「打席に立つと、外野にスタンドのある球場は初めてなので広く見えました。立ってみると楽しいし、芝生がきれいだし、ワクワクしました」と笑顔。そして「大丈夫。間に合います」と25日の初戦に向けて、戦闘モードを宣言した。

5番までの上位打線ではただ1人の右打者。甲子園も中軸起用が濃厚だが、約1週間前に右足首を捻挫し、16日からの練習試合は先発を外れた。ようやくこの日から練習に本格合流し、午前中の智弁学園(奈良)戦では4番。4打数で左前打を放ち、左翼ポール際へ本塁打性の大ファウルも連発した。「冬場のトレーニングのおかげで体の切れが出ている。調子は上がっています」と、ブランクを感じさせなかった。

何より、初めてベスト布陣で戦えることが大きい。昨秋は小野寺颯斗内野手(3年)が右膝半月板の手術から東北大会で復帰するも、代わって主将の及川温大内野手(ともに3年)が腰痛で離脱。及川が回復したと思ったら、今度は岡田の負傷が続いた。軽症だったのは幸いで、最後の練習試合、21日天理(奈良)戦に間に合った。

甲子園練習では投内連係の確認、クッションボールの処理、シート打撃など、一通りのメニューをこなした。平賀佑東外野手(3年)と4番を争う小野寺はシート打撃でただ1人、右翼席への柵越えを披露。「午前中はダメだったけど、さっきのバッティングは良かった。気持ちいい場所で練習ができました」と復調気配をつかんだ。平賀は「あこがれの舞台。次はお客さんが見ている中でやってみたい気持ちが強くなりました」と、本番が待ち遠しそうだった。【中島正好】