藤代が、コロナ禍で調整不足が懸念される中で奮闘したが、白鴎大足利に7回コールドで1回戦で姿を消した。

0-6で迎えた5回。1死二塁。打席に立った川原翔外野手(2年)は初球の変化球に、ぼうぜんとした。「真っすぐが来ると思っていたので、手が出なかった。頭の中がこんがらがった」。川原の表情に、すぐにベンチが動いた。伝令が走り「引っ張れる球だけ待って1球でしとめなさい」と、菊地一郎監督(51)からの言葉で冷静さを取り戻す。相手投手の得意とするスプリットを捉えるために「いつものスイングだとこすってしまう」と、打席内で少し下から振るように即座に修正。狙い通りの真ん中低めのスプリットを思い切り引っ張り右越えの適時二塁打。1点をもぎ取った。川原は「ここは自分が勝負するしかないと思った」と、力を込めた。

厳しい環境の中での初戦だった。茨城県は9月、独自の非常事態宣言に伴い同月19日まで部活動が全面禁止。地区予選と県大会が10月に延期となった。20日からは練習は再開されたものの、平日は2時間以内、休日は3時間以内、練習試合は禁止。県大会も決勝戦が行われたのは関東大会のわずか1週間前。エースの新関颯汰投手(2年)も県大会終了後、肘の軽い肉離れと診断され、ベンチを外れた。菊地監督は「この間、3チームとしか練習試合ができなかった。4月末から練習試合は県内のみ。この代は、他県と試合をするのも今日が始めて。とにかく経験値がない。本当にこの子たちはかわいそう」と、選手たちの気持ちを察した。

最後まであきらめない姿勢は見せられた。最後にしぶとく粘って奪った1点は、今後のチーム作りに生きる。川原は「夏に向けて、劣勢でもやるべきことをやり、なるも最後まであきらめない試合をしたい」と前を向いた。