燕の4番は任せろ! ヤクルト雄平外野手(30)が、左へ右へ、ロッテ涌井秀章投手(28)から2打席連続本塁打を放った。侍ジャパン入りし、欧州代表との第1戦で決勝打を放った男が、開幕に向けてド派手なデモンストレーションを見せた。大砲バレンティン不在の開幕だが、心配はいらない。ヤクルトには雄平がいる。

 感触は十分ではなかった。4回の第2打席、ヤクルト雄平は左手に残った感覚から「入らないんじゃないか」と思いながら走っていた。しかし、打球は左翼席まで伸びた。完璧だったのは6回の第3打席だ。今度は左手に、しっかり押し込めた感覚が残っていた。貫禄十分に2打席続けてダイヤモンドを1周した。

 切り替えが生んだ2本塁打だった。1回、無死満塁で迎えた打席で、外角のシュートを引っかけ、二ゴロに倒れていた。5点を先制された直後に訪れた反撃の機会だった。「あそこでもっと勢いをつけるバッティングがしたかった」と、反省を口にした。だが、収穫だったのは失敗を引きずらずに次の打席で結果を出せたこと。1本目の本塁打は、初回に打ち取られた球と同じ球種。2つの本塁打はともに初球で、思い切りの良さも際立った。

 失敗からの切り替え能力は、侍ジャパンを経験したことでさらにたくましくなった。10日の欧州代表戦では守備で3失点に絡むミスを犯したが、打撃で取り戻した。「これから緊張感ある場面で失敗したとしても、ジャパンでも切り替えができたんだからというのを自信にしたい」。もう少々の失敗では動じない。

 「良くても悪くても、次やるべきことを考えている。めげちゃうこともあるけど、そんな時間はないと自分に言い聞かせている」。プレー中の注意点や考えておくべきことは1球ごとに変化する。しっかり準備がしたい。「少しでも多い判断材料を持ってプレーしたい」というのが、今の雄平の考え方だ。

 しっかり準備し、素早く切り替える。その能力が、ヤクルトの4番を成長させる。自信をくれた侍ジャパンのユニホームは、自宅に大切に保管してある。「あれはヤバイです。だれにもあげません」。侍の誇りとともに、雄平の宝物となっている。【竹内智信】