ゲームセット目前で勝利がスルリと逃げた。日本ハムはヤクルトと4時間54分の死闘の末、今季初の引き分け。6回に逆転し、継投策で逃げ切りを図ったものの、1点リードの9回、守護神増井が2死走者なしから連打を浴び、土壇場で同点に追いつかれた。11回から白村につなぎ、12回に1死満塁のピンチも後続を断ち、サヨナラ負けは阻止。総力戦で延長を乗り切った。

 絶体絶命をくぐり抜けた。延長12回1死満塁を「0」でしのいだ。4時間54分を戦い、今季初めての引き分け。栗山英樹監督(54)は「勝ち切らなきゃいけないけど、うれしかった。延長に入って、交代した選手もみんなベンチに戻ってきて声を出して、必死に戦った。我慢できたことはプラスになる」。ベンチ入り25人のうち、22人がグラウンドに立った総力戦。若いチームは、またひとつ経験を積んだ。

 ゲームプランはとっくに崩壊していた。1点をリードし、9回2死走者なし。マウンド上には守護神・増井がいた。指揮官としては、試合終了の瞬間を待つだけだった。

 だが雄平のゴロが内野安打になると、続くデニングへの初球を、増井がサインミス。高めへの148キロ直球は、大野のミットをすり抜けてバックネットまで転がった。そして2球目。「少し甘く入った」(増井)内角直球はハーフライナーとなり、右前で弾んだ。谷元、石井、宮西、鍵谷、増井がすでに登板した状態で、試合は振り出しに戻った。栗山監督は「引き分けではいけないんだけど、簡単な試合じゃなかった。よく頑張ってくれた」。悲観することなく、残り3イニングを耐えきったことを褒めた。

 平均年齢の極端に低いチーム。同監督は開幕前から、長いシーズンを戦いながら選手達が成長していくことを、優勝への条件に挙げていた。午後11時近くまで野球をやって、負けなかった。これほど貴重な試合は、やろうと思ってもできるものじゃない。【本間翼】