巨人が首位ヤクルトとの“東京ドーム決戦”第1ラウンドを制し、クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。崖っぷちのチームの推進力となったのは、今季スローガン「新成」の担い手、ドラフト1位ルーキー岡本和真内野手(19)だった。1点を追う4回1死三塁から右前に同点打を放ち、試合を振り出しに戻した。チームは東京ドーム12連勝でヤクルトとは1ゲーム差に接近。今日27日の第2ラウンドも連勝すれば、逆転優勝も見えてくる。

 巨人岡本は体の重心をグッと落とし、へその下の丹田に力を込めた。1点ビハインドの4回1死三塁。象のように太く、どっしりした足首で土をえぐって、右前にはじき返した。「1年目からこういう経験はめったにできないので、すごくうれしいです。やっぱり、負けたくないんで」。先輩から促され、塁上では控えめに右拳を握って、少しだけはにかんだ。

 1軍最年少の一振りが、流れを引き寄せた。優勝争いの大一番でも、貫いたのは自らのポリシーだった。「思い切って、初球からいこうと」。一切の迷いなく、初球の直球を打ち返した。ミスや凡退した悔しさから、21日の中日戦後は帰京する新幹線で「最近、食欲がなくて…」と駅弁1個を平らげるのが精いっぱいだったが、グラウンドに立てば、関係なかった。

 悩み、もがき、行き着いたのは原点だった。高校通算73発の長打力を評価され、期待に応えるべく、打撃フォームを模索。「通用しないと思って」と高校時代のフォームを一新したが、2軍でノーアーチの日々が続いた。「重心が低いとダメかなと思ったんですけど、そうでもないんじゃないかと」。目で見て、耳で聞いて、出した答えは「智弁学園の岡本」だった。

 初のお立ち台でも、ともに立った長野、阿部から主役を奪った。「初めまして。奈良県から来ました、ジョニー・デップです」と“持ちネタ”で自己紹介。照れくさそうに笑う姿に、ファンから大歓声が注がれた。「新成」の旗印が照らした4連覇への光-。原監督は「勝負強さがあった。堂々と地に足をつけて、野球ができている」と絶賛した。東京ドーム12連勝を決め、CS進出も決定。「新成」を掲げる王者巨人が、一気に行く。【久保賢吾】

 ▼岡本が4回に初球を打って同点タイムリー。肩書付きの殊勲安打はプロ入り初めてで、これで初球を打ったケースは5打数3安打だ。岡本の走者別の成績を出すと

 走者なし 9打数1安打 1割1分1厘

 走者一塁 5打数2安打 4割

 走者得点圏 7打数3安打 4割2分9厘

 打席は少ないものの、走者を置いて打率が高く、高卒新人らしからぬ勝負強さを見せている。

 ◆岡本の自己紹介 1軍初昇格の8月27日ヤクルト戦(神宮)の試合前ミーティングで「奈良県から来ました、ジョニー・デップです」と自己紹介し、阿部ら先輩を大爆笑させた。2軍では自身の誕生日に練習前のあいさつを促され「おはようございます。玉木宏です」とポツリ。一瞬くすっと笑いが起きたが、聞き取れなかった関係者をポカンとさせた。