楽天のフミヤに梨田監督のチェックが入った。ルーキーの小野郁(ふみや)投手(19)が8日、岡山・倉敷市内で行っている秋季キャンプでブルペン入り。するとキャッチャーミットを手にした梨田昌孝監督(62)から声をかけられ、立ち投げで約20球を投げ込む機会を得た。歌手の藤井フミヤと同じ福岡県久留米市出身。スターの素質を見いだされた?

 「涙の」ではなく「梨田のリクエスト」で緊張のステージが始まった。ブルペンに入った小野の目の前には、キャッチャーミットをはめた梨田監督がいた。「思い切り来い!」と言われても、体がこわばって思うように投げられない。立ち投げで約20球。投球のたびに、端正なマスクからは大粒の汗が流れ落ちた。「見られているだけの時は思い切り腕が振れたんですけど、捕手として立たれると意識してしまって…。ミットの音とか雰囲気とか、やっぱりすごかったです」と、62歳のスターが持つオーラに圧倒された。

 自己採点で100点がつく投球ではなかった。それでも、素質の一端を伝えるには十分な約20球だった。梨田監督からは「魅力があるね」と称賛の言葉が飛び出した。「インステップ気味なので右バッターは嫌だろう。まだいい回転の時と悪い回転の時があるが、精度を上げていければ面白い存在になる」と、新たなスター誕生をにおわせた。

 1年目の今季は、4試合6イニングに登板して防御率14・40。奮起を決意して挑んだ秋季キャンプでは、連日150球前後の投げ込みを続けている。「中継ぎなら連投もある。疲れてきた中でコントロールを保つ感覚を体で覚えたい」と明確な目標を持って倉敷に来た。第1クールでは「あまりに疲れて、午後8時に寝ていました。小学生以来です」と苦笑いだったが、今では全体練習後の個人練習も意欲的にこなす。虎の穴を抜けた先にはスターへの階段が待つ。今は信じて駆け上がるだけだ。