型破りの爆笑運動会こそ「金本流」-。阪神金本知憲新監督(47)が13日、安芸キャンプでチーム対抗リレーをプロデュースした。5チーム結成し、負ければエンドレスで走る過酷なメニューを運動会BGMまで流して盛り上げた。最終レースでは荒木郁也内野手(27)がコースを「ショートカット」した反則を絶賛。「グラウンドでも厚かましくやれ!」と勝負師らしく切り込んだ。

 とにかく厳しく明るい大運動会は、安芸の雨空を吹き飛ばす大盛り上がりだ。5チームに分かれて勝ち抜けていく全力疾走レース。爆笑を誘ったのは最弱2チームの最終戦だ。先を行く4走の田面がバトンを受けると、金本監督が背中に覆いかぶさり、リードを縮めようともくろむ…。

 最終走者になっても、大差がついていた。追う荒木がバトンを受けた瞬間だ。コースを大幅にショートカットし、グラウンド中央を大横断。意表を突く反則で瞬く間に中谷に追いつき、デッドヒートを繰り広げている…。この光景に感心したのが金本監督だった。

 「最後、接戦にしようと思って…。アイツがあんなことをやると思わんかったよ。ああいうことを試合中にもやってやろうかという気にならなアカン。厚かましいことを堂々と試合でやるくらい殻を破れば、彼はもっといいモノが出るよ。だいぶ、遠慮というか、止まってる感じがするから」

 コースを無視して、大胆に近道を爆走したラフファイトに指揮官は勝負事へのヤマっ気や執念を感じ取っていた。荒木はプロ5年目の今季も内野の守備固め要員にとどまった。荒々しく、ふてぶてしく戦ってこそ、金本軍団の一員だ。図らずも大運動会で選手としての理想が浮き彫りになった。

 この日が、安芸キャンプ指導の最終日だった。「家族」と表現する選手への愛情は細かいところに出る。まるで敏腕プロデューサーだった。チームメンバーの選出はドラフト制。レースが始まると、不意に、運動会でおなじみのBGMが鳴り響いた。「音楽が良かったじゃろ!」と得意満面の笑みで振り返る。前夜、球団関係者に指示を出してレンタルしたCDを流すほど、手が込んだ演出だった。

 「楽しく走らないと。同じやるなら、キツい練習は楽しくやらないと! 昔、運動会で1番だった選手ばかり。昔を思い出せとね」

 リレーの結果にも、選手と一緒になって大喜びするなど、早くも強烈なリーダーシップを発揮している。所用のため、夜には高知を後にした。もう少しでオフがやって来る。このときばかりは鬼の顔に戻った。

 「オフは休みじゃない。(現役時代に)一番、追いつけるチャンスだと思っていた。シーズンオフの練習で、僕以上にやっているヤツはいないと思っていた」

 この言葉で十分だろう。鮮やかなメリハリをつけて勝負に臨む。戦う男として、あるべき姿勢をキッパリ説き、若虎の成長を待つ。【酒井俊作】

 ◆運動会BGM この日リレーで使われた曲は運動会徒競走の定番「クシコス・ポスト」。ただ、世代間ギャップがあるのか、19歳植田は「あんな音楽、運動会で聞いたことないです」とキョトンとしていた。