後半戦の逆襲にスタンバイOKだ。阪神藤浪晋太郎投手(22)が「マツダオールスターゲーム2016」第1戦で全セの2番手で登板。2回を無安打無失点に抑え2年連続で勝利投手になった。大阪桐蔭の先輩、西武浅村と日本ハム中田を斬り、試合前にはヤクルト山田を取材。前半戦は4勝止まり、8日広島戦では8回8失点で161球を投じて5敗目を喫した若き柱が祭りで目覚めた。全セが全パに5-4で競り勝った。

 思わずニヤリだ。藤浪はマウンド上、笑いをかみ殺しながら軽く頭を下げた。4回2死二塁。大阪桐蔭の5学年先輩、日本ハム中田への148キロ直球が抜けて、のけ反らせてしまった。“謝罪”を終え、フルカウントからの6球目は高め150キロ。オール直球勝負で捕邪飛に仕留め、威風堂々とマウンドを下りた。

 「ちょっと力みましたね。2アウトだったのでいいかなと思って、ストレート勝負しました」

 3回から2番手で登板し2イニングを無安打1四球で無失点。2年連続の球宴勝利まで転がり込んだ。1イニング目はこれまた大阪桐蔭先輩の先頭、西武浅村を153キロで右飛に打ち取るなど4球で3者凡退。4回はカットボールも交えつつ3番柳田から150キロ直球で空振り三振を奪うなど決め球にすべて直球を選んだ。「プレッシャーがない中で楽しめました」。偽らざる本音に聞こえた。

 「どうやってヒットを打つんですか?」

 練習中にはヤクルト山田と約10分間の野球トークを展開。「タイミングの取り方を話してくれました。マネはできないけど、一流の感覚がどんなものなのか知りたかったので」とニンマリだ。

 ホームランダービーでは同学年の日本ハム大谷が優勝。右中間最深部への大飛球を繰り返す姿に「飛距離も本数もすごいとしか言いようがない」と苦笑い。きっと、この光景も刺激剤に変えて吸収するのだろう。

 前半戦最後のマウンドとなった8日広島戦は8回8失点。今季15試合登板で8度目の初回失点を喫したこともあり、金本監督から自己最多161球の“懲罰続投”を命じられた。そのまま1度もブルペンに入らず、ぶっつけの球宴マウンドで無失点。「(肩肘の)張りはなくはなかったけど、しっかり投げられて良かった」と力を込めた。

 後半戦は22日広島戦での先発スタートが有力。最後は厳しい表情に戻り、4勝どまりに終わった前半戦との決別を誓った。

 「(流れを)変えたいし、変えないといけない」

 野球少年に戻れた貴重な時間。少なくとも、疲れた心の掃除には成功したに違いない。【佐井陽介】

<阪神藤浪の球宴と後半戦>

 ◆13年 阪神の高卒新人としては67年江夏以来46年ぶりに出場。神宮での第2戦、6回に登板。日本ハム中田の頭上を越えるスローボールを2球投じ、苦笑いの中田がマウンドに詰め寄る場面も。2回2安打無失点。後半戦は4連勝を挙げるなどして1年目から2桁の10勝に到達。

 ◆14年 甲子園の第2戦で日本ハム大谷と投げ合った。1回にオリックス・ペーニャに特大3ランを浴びると、マウンドで「マジか」とポツリ。2回4失点。後半戦は4連敗を経験するもシーズン終盤は3連勝でフィニッシュ。

 ◆15年 東京ドームでの第1戦で4回から3イニング完全投球。投手最年少の21歳でMVP獲得。大阪桐蔭の後輩、西武森との対戦は天井に当たる一飛に仕留めた。後半戦は7勝を挙げて最終的に14勝をマークした。