プレーバック日刊スポーツ! 過去の8月1日付紙面を振り返ります。1999年の3面(東京版)は江夏豊以来32年ぶりの高卒新人10勝目を挙げた西武松坂大輔投手でした。

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<西武4-1ロッテ>◇1999年7月31日◇西武ドーム

 西武松坂大輔投手(18)がロッテ戦で10勝目を挙げた。8回途中、4安打1失点で降板したが無四球、最速は149キロ止まりも制球がさえた。高卒新人の2ケタ勝利は1967年(昭42)の江夏豊(阪神)以来32年ぶりの快挙。勝ち星、勝率でも単独トップに立つなど7月は無傷の4勝で月間MVPも確実となった。次回登板は中5日で6日のオリックス戦(神戸)が有力だ。

 お立ち台に向かう松坂が、ウイニングボールを惜しげもなく一塁側スタンドに投げ込んだ。7回2/3を投げ4安打1失点で10勝目。阪神江夏以来の32年ぶりの高卒ルーキー2ケタ勝利の快挙にも「通過点です」と涼しげな表情。が、ベンチ裏に戻ってくると胸を張りたいことが1つあった。

 松坂 シーズン前に僕が10勝できないと思っていた人に「どうだ」って見返すことができました。これが第1段階。第2段階は1つずつ白星を増やすこと。

 「10勝以下」と予想した評論家やファンに対する強烈なアピール。松坂が久々にビッグマウスを披露した。激しい言葉だが、大輔スマイルに包まれると不思議なそう快感がある。それほど軽快な投球内容だった。

 最速は149キロと控えめだった。しかし「キレがあったのでスピードは問題ない。コースを狙って、ポンポン投げてチームにいいリズムをつくりたかった」と、夏場の試合を意識したペース配分だった。完投を美学とするが、8回2死から諸積に4安打目を許すと、東尾監督の交代指令に素直にうなずいた。8月は4・5差で追うダイエーとの2度の直接対決をにらみ、中5日のローテーションが組まれる。次の勝利のために余力を残した。

 球宴後、落ち着きがなく周囲から「変だぞ」と指摘されたが、前夜(7月30日)フォームを変えてまでがむしゃらになった西口の完封劇を見て改めた。「浮わついていたんですけど、自分を取り戻せました」。

 ノストラダムスの予言で、世界が滅びるといわれた1999年7月に無傷の4連勝。ハーラーダービーと勝率でトップに立つなど、平成の怪物がパ・リーグの「アルマゲドン(世界の終末の戦い)」に勝利した。試合前、2日前にビデオ発売された映画「アルマゲドン」を「絶対見たいですよ」と繰り返したのも、勝利の予感があったから? 「僕がアルマゲドンに勝った? いい表現ですね」。7月最後の日を松坂は気分良く締めくくった。

 西武東尾監督(松坂の10勝について)「驚くのは4、5月に済んでいるからいまさらだよ。ベースの上で力のある球が行ってたな。プレート上でいくら力んでもしょうがないからな」

 江夏豊氏(野球評論家) まずはおめでとう。10勝は松坂君にとって単なる通過点だと思う。自分の18歳の時とは比較にならないほど松坂君の方が上。15勝、20勝目指して頑張ってほしい。あとは完投する姿勢を取り戻してほしい。2、3戦目を投げ終わったあたりで最後まで投げ切る姿勢を語っていた。首脳陣の配慮もあるだろうが次の登板や球数を気にせずにやってほしい。

 ◆プロ初ボークも 松坂が4回にプロ初ボークを犯した。先頭諸積に初安打を許した直後、プレートを踏んだまま渡されたボールを見つめ、プレートを外すしぐさが不自然だったため、ボークを取られた。松坂は「ボールの縫い目が切れているし、革もめくれていたのでびっくりしていたらやってしまった」と反省。また、7回には大村から三振を奪ったチェンジアップがワンバウンドとなる暴投で初の振り逃げを許した。

 ▼松坂が、パ・リーグのトップを切って10勝目を挙げた。高卒新人の2ケタ勝利は、1967年(昭42)江夏(阪神)以来、32年ぶり、2リーグ制後14人目。リーグ10勝一番乗りした高卒新人は、54年梶本(阪急)62年尾崎(東映)に次いで3人目。松坂は勝ち星と勝率が単独トップで、防御率は黒木(ロッテ)と0・10差。松坂は高卒新人初の3冠に挑戦する。

※記録や表記は当時のもの