東京五輪の主役だ! 野球・ソフトボールが20年東京五輪の追加種目に決まった日、ヤクルト山田哲人内野手(24)が、広島戦で2試合連続となる32号3ランをバックスクリーン右へたたき込み、最下位脱出に貢献した。五輪のメイン会場予定地の横浜スタジアムを本拠地とするDeNA筒香の33本塁打に1本差と迫り、打点は4差をつけトップ。打率も首位坂本に3厘差。2年連続トリプル3をクリアして、ミスター東京五輪となる。

 マウンド上の投手薮田は外野飛球と思いマウンドを降りベンチへ戻りかけていた。しかし、山田の打ち上げた打球はグングンと伸びバックスクリーン右に舞い落ちた。右翼席で沸き起こる東京音頭の大合唱。その中を悠然と1周した。2-0で迎えた6回。2死一、二塁からダメ押しアーチをかけ首位広島の独走に待ったをかけた。「会心じゃなかった。フェンス直撃か捕られるかと思った。ここで点が入れば、ほぼ勝ちにつながる流れになると思った」と、勝利に直結する一打を喜んだ。

 東京五輪に対しては決して大風呂敷を広げない。「野球が正式種目に決まって本当にうれしいです。先の話ですが、毎年シーズンを頑張って、メンバーに選ばれるように頑張りたいと思います」とコメントは控えめでも、4年後の28歳は充実した年齢を迎えているはずだ。

 天才的な能力の持ち主だが、その裏では努力の人でもある。近くで一緒に練習を積みながら成長を見詰めてきた三木内野守備走塁コーチが感心している点だ。「自覚がもともとある選手。自己管理のレベルが上がっている。最初の頃は引っ張ってやっていたけど、今は率先して、こうしたいと言ってくる。前は状況について聞いても感覚的な言葉が多かったけど、今は自分の言葉で説明できるようになった」と、考え方の成長ぶりを説明した。盗塁のスタート、併殺プレーのスローイングに必要な肩の力を養う遠投など、毎日コツコツとルーティンをこなし続けている。

 筒香との本塁打争いについての意識はない。真中監督は「彼はマイペースだからね」と評するように、相手ではなく自分のやるべきこと、チームに果たすべき役割を自覚し忠実にこなし続けている。本塁打を放った打席も「何も意識していない。いつもの打席の感じで入った」と淡々と振り返った。練習をしっかり積み、本番では自然体で結果を出す。五輪の大舞台での姿も早く見たい。【矢後洋一】