さらば、旧若獅子寮-。2日、埼玉・所沢にある西武の旧選手寮「若獅子寮」のクレーンによる解体工事が開始した。午前10時、作業員のかけ声と同時に屋根部分の解体から始まった。放水しながら数々の名選手が巣立った建物が取り壊されていった。

清原和博、松井稼頭央、松坂大輔…。若獅子寮からプロ野球選手としての1歩を歩み始めたスターは数知れない。79年に球団は福岡から所沢に移転。若獅子寮は81年に完成した。松坂が入団した99年当時の家賃は3万5000円。門限は午後11時(ナイター時は午前0時)。部屋での飲酒禁止。ただ夕食時のビールは1本まで認められるなど、たくさんのルールもあった。清原、松坂、涌井、菊池らが使用した部屋は「出世部屋」と言われた。

現役選手たちも寂しさを感じている。02年に入寮した栗山巧外野手は「入寮はもう17年も前のことですね。緊張しながら入寮したことや、若獅子寮で生活をしていた当時のことがつい最近のことのようによみがえります」と感慨深げに思い出していた。

新旧若獅子寮を知る選手もいる。今井達也投手は新しく建設された新若獅子寮に7月、引っ越しを完了。「約2年半という短い期間ではありましたが、思い出がいっぱいですね。僕が住んでいた部屋は、森(友哉)さんや(高橋)光成さんも使っていたので、そんな部屋で生活できたのは本当に光栄でした」。その一方で「現在は、新しい若獅子寮で生活をしていますが、何もかもが新しくなって、とても快適に過ごしています」と新たな生活を始めている。

旧選手寮と室内練習場の跡地には、サブグラウンドとブルペンを新たに建設。21年に完成の予定となっている。