呉昇桓「ホームランバッター」阪神ボーアにお墨付き

  • 右肘手術明けで本格的なブルペン投球を行うサムスン呉昇桓(撮影・酒井俊作)
  • 阪神ジャスティン・ボーア(2020年2月15日)

阪神で2度のセーブ王に輝き、韓国サムスンに在籍する呉昇桓投手(37)が古巣にエールを送った。17日、沖縄・恩納村で春季キャンプの練習後に対応。日韓米通算399セーブの大投手は、異国で活躍する秘訣(ひけつ)として「初心」の大切さを説いた。また、カージナルス時代の17年は当時、マーリンズのジャスティン・ボーア内野手(31)に被弾。虎の新助っ人の力量にお墨付きを与えた。

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かつて無表情を決め込んで「石仏」が笑っていた。「フクハラサン、フジイサン、ゲンキデスカ?」と流ちょうな日本語を披露。「ライネンハハンシンニイキマス」と冗談も飛ばした。呉昇桓は昨年7月下旬、大リーグ挑戦を終えて韓国球界に復帰。いまも古巣阪神への愛がある。

「阪神の野球も見ていますよ。昨年、クライマックスシリーズまでいった。今年はもっといい成績になるよう、やってくれるんじゃないでしょうか。藤浪ももっとよくなると思います」

来日1年目の14年に球団の外国人史上最多39セーブで、いきなりセーブ王に輝いた。10月のクライマックスシリーズは6連投の4セーブでMVP。日本シリーズ進出の立役者だった。15年も41セーブで戴冠。在籍はわずか2年だったが150キロ超の「石直球」で強烈なインパクトを残した、超優良助っ人だった。

環境が違う異国で活躍できた理由がある。大リーグ移籍1年目だった16年もカージナルスで76試合に投げて19セーブ、防御率1・92の好成績。「新しい国で、新人に戻った気持ちでやったら、うまくいく」と明かした。実績に甘んじず、初心忘るべからず。阪神は史上最多の助っ人8人体制を敷く。来日1年目の4選手の「金言」になるだろう。

メジャーでもクローザーに君臨した。ボーアの名前を聞くと、間髪入れずに言う。「1回、ホームランを打たれた。ホームランバッターですね。打席で威圧感がある。相手投手はプレッシャーを感じる。(活躍)できると思います」。4打席対決し、2打数2安打2敬遠だ。17年7月6日の9回に117キロカーブをすくわれて、右中間に被弾した苦い記憶がある。大リーグ通算92本塁打の実力に太鼓判を押すのもうなずける。

阪神では“笑わない男”だったが、いま表情は柔らかい。「楽しそうに見えますか? 日本にいたときも楽しかったです」。藤川、能見、梅野らと交流があるという。愛着あるチームで奮闘する戦友へ、思いをはせていた。【酒井俊作】

○…呉昇桓は昨夏に右肘遊離体の除去手術を受けたが、回復は順調だ。この日は術後2度目のブルペン投球を行った。阪神時代よりも変化球は多彩でカーブやツーシームも多投していた。「全然、痛みもない。米国に行く前より、肘や腕の状態はいい。投手は球種が多い方がいい。フクハラサン(福原投手コーチ)にフォークを教えてもらって、米国にいるときはカーブがいい選手がいっぱいいる」と話した。16年の違法賭博容疑のため韓国では72試合の出場停止処分を受け、5月に復帰できる見通しだ。「いまも試合で投げられるくらい調子がいい」。アジア記録の中日岩瀬(407セーブ)も射程圏内。再びクローザーの地位を狙う。

◆呉昇桓(オ・スンファン)1982年7月15日生まれ、韓国・井邑市出身。檀国大から04年ドラフトでサムスンに入団し、5度のセーブ王を獲得。通算444試合で28勝13敗、防御率1・69、韓国最多の277セーブ。WBCは4大会連続で代表に選ばれた。14年から2年間阪神に在籍。16年からメジャー入り。178センチ、92キロ。右投げ右打ち。