楽天島内宏明(30)が、「東北」の思いを胸に1発を放った。東日本大震災から9年を迎えたこの日、球場に掲げられた日の丸、球団旗は半旗となり、犠牲者に追悼の意を表した。

コーチの助言を体現し、一振りで決めた。島内は3回2死一、三塁。西武2番手の伊藤の初球、真ん中低めの直球を振り抜いた。「手応えはそんなによくなかった」と振り返ったが、打球は飛距離122メートルあるバックスクリーンまで飛んだ。「金森式で内からぎゅっとバットを出す意識でボールを捉えることができました」。2月29日のロッテ戦以来7試合ぶりの1発を喜んだ。

当時震災が発生した午後2時46分。楽天の首脳陣、選手がベンチ前に整列。1分間の黙とうを行った。「今日は特別な日だった。いつもこういう気持ちを持って、ファンのためにプレーしていきたい」と島内。被災地球団の選手として、東北を野球で盛り上げる。【佐藤究】