中日は25日から阪神、巨人と続くロード6連戦でペナントレースの折り返しを迎える。元横浜の日本一監督で中日でも投手コーチを務めた権藤博氏(81=日刊スポーツ評論家)は、今後のポイントとして「まずは勝率5割の重圧に打ち勝つ」ことを挙げた。8月大反攻で最大9あった借金を1まで減らした。7年連続Bクラスからの脱却、そしてさらなる大目標へ、権藤節で提言した。

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中日は開幕前の構想、開幕直後のメンバー構成から変容を繰り返しながら勝率を上げてきた。短縮かつ連戦続きの前例のないシーズンだけに手探りの部分もあったと思うが、エース大野雄に続く先発の柱として、ここにきてロドリゲスが出てきたことは大きい。投手陣は質、量ともに優勝を狙えるメンバーがそろっていると言い続けてきたが、8月以降の戦いぶりを見て改めてその思いを強くした。

課題に挙げていた抑え投手と捕手の固定化も解消への道筋が見えてきた。抑え投手は開幕時の岡田に代わり、R・マルティネスが定着。勝ち試合の7回以降を託せるリリーフ陣も祖父江、福を筆頭に充実。捕手も木下拓に加えて新人郡司がいい味を出している。京田、阿部の二遊間に中堅大島を含めたセンターラインの守備力も高い。打線はどのチームでも計算しづらいが、これだけのガード力があれば今後も十分、戦っていけるだろう。

ただ、そこは7年連続Bクラスのチーム。まずは「勝率5割のプレッシャーに打ち勝つ」ことが課題となるだろう。5割ラインを超えた戦いはこれまでとは違う次元の重圧がのしかかってくる。この目に見えない敵を克服してこそ初めて優勝への挑戦権を手にすることができる。

クライマックスシリーズのないシーズンだけに、どのチームも目標はあくまで優勝だ。頂点を見据えて戦う以上、まずは5割の重圧を乗り越え、さらにその先にある大目標に向けたモチベーションをチーム全体に掲げ、そして浸透させることができるかどうか。これから始まる後半戦は、首脳陣にとって真価の問われる場面が訪れそうだ。