「急造方程式」を締めたのは、阪神岩崎優投手(30)だった。3点リードの9回、今季初めて「守護神」としてボールを握った。「いつも通り、マウンドに上がりました」。先頭の林はスライダーで泳がせ二ゴロ。続く西川には中前打と暴投で二進を許したが、表情は変わらない。最後は2死二塁から、「あと1人」の拍手の中、代打松山を直球で見逃し三振に仕留めた。

「スアレスがいないからというので、ごちゃごちゃするのは嫌だったんで、ホッとしています」。侍ジャパンとして東京五輪で金メダルを獲得してから初登板で今季初セーブ。勝利の瞬間はマウンドで、梅野らナインとグラブタッチで静かに喜びをかみしめた。

守護神スアレスが不在でも、リリーフ陣は揺らがなかった。先発秋山の後を受けて6回に登板したのは、高卒2年目左腕の及川だった。すいすい2アウトを奪うと、2死一塁から代打長野をツーシームで右飛。「秋山さんがいい投球をしてくれたので、それに続くことができてよかったです」。前夜の1回2/3に続き無失点に抑えると、グラブをたたいてぴょんと跳ねた。岩崎に代わり8回のマウンドを任されたのはアルカンタラ。この日最速154キロの直球を主体に、3番小園から主軸を3者凡退に抑えた。

代役守護神を任命した矢野監督は、岩崎の投球を安心して見守った。「優はどの場面でもね、経験がありますし。こちらも自信を持って送り込んでいる。優らしく、いつもいい意味で淡々とね。投げてくれました」。堂々の投球を続ける及川は、今後も勝ちパターンで起用する方向。「今までも行ってるからこれからももちろん行く。それだけの中身もしっかりしたものを見せてくれている」と信頼を寄せた。

一時帰国の影響で出遅れていた守護神スアレスも合流に向けて順調だが、リリーフ陣の安定感は好材料。後半戦も鉄壁のブルペンは健在だ。【磯綾乃】

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