王者に試練が訪れた。ソフトバンクが1点リードの最終回に追いつかれて今季17度目の引き分けとなり、球団記録およびパ・リーグ記録を更新した。2-1の9回に左腕嘉弥真が先頭の吉田正尚に四球。その後、板東湧梧にスイッチしたが、1死一、三塁で代打ジョーンズに痛恨の同点打を許した。首位との直接対決という大事な一戦で、痛すぎるドロー。すぐ目の前に見えていた白星がこぼれ落ち、板東は「悔しいです。それしか言葉が出てきません。申し訳ありません」と、責任を背負った。

守護神がいない。離脱中の森、モイネロの代役抑えの岩崎は、20、21日のロッテ戦で2試合連続3失点。その後、右肘のコンディション不良を訴え、登板回避が続いている。前回のセーブシチュエーションだった24日の西武戦は、2点差の9回に板東がマウンドに上がったが、2失点で逃げ切りに失敗した。工藤監督は「(岩崎)本人とも確認を取りながら。どうしても難しい、時間をつくった方がいいのならば、考えないといけない」と、肘の状態によっては離脱の可能性も示唆した。

勝っていればオリックスとのゲーム差を「4」に縮め、29日の同戦でカード勝ち越しの望みがあった。しかし今季、次々に離脱していく「9回の男」の不在が響いて引き分け。指揮官は「負けが1つ増えるよりは、引き分けが1つ増える方がよっぽど良い。そりゃ勝ちたかったですけど、そうできないゲームもあるわけで。そこは割り切ってまた明日」と必死に前を向いたが、逆転優勝を目指すチームにとっては負けに等しい引き分けだった。

前日は完封負けで、この夜は逃げ切り失敗。もどかしい大阪の夜が続く。29日に負ければ、今季最大のゲーム差「6」に広がる。勝ち負けは雲泥の差。次こそ、4年連続日本一球団の意地を見せる。【只松憲】