ついに鬼門を突破した。楽天山崎剛内野手(25)がロッテ22回戦(楽天生命パーク)で2号先頭打者本塁打を放ち、3試合連続の初回先制に成功。辰己涼介外野手(24)も中越え10号ソロで中押しするなど、投打がかみあい、ロッテ戦の連敗を9で止めた。これで前カードから3連勝。2位との直接対決初戦を制し、差は2・5ゲームに縮まった。

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左翼スタンド最前部へ消えた打球に、山崎剛は驚いたような表情を浮かべた。「打った感触はこすった感覚でしたが、風のおかげで入りましたね」。1回裏の2球目、ファーストストライクの直球を捉えた自身初の先頭打者アーチ。最高の形で発進した。

前カードの日本ハム戦から、自力で流れを呼び込んできた。9月29日には右二塁打で、同30日は左二塁打でチャンスメークし、いずれも初回先制のホームを踏んだ。「自分のスイングを1スイング目からできるように心掛けています。本当にそれだけです」。9月に入ってリードオフマンに定着。体当たりで濃密な打席を重ねている。

高まりつつあったムードを辰己がさらに引きあげた。2回に犠飛、5回にはバックスクリーンへの10号ソロで4点目を加えた。「前半、中盤とたくさんチャンスをいただいて結果を残せなかった。絶対に貢献したかった」。チームの上位争いと、外野の定位置争い。2つの緊張感を同時に背負って戦っている。

価値ある1勝だ。ロッテには5月23日の白星を最後に9試合もの間、勝てなかった。チームの足を引っ張ってきたと辰己は言う。石井GM兼監督はとがめない。「過去は未来の肥やしにしかならない。未来が大事。今まで頑張れなくても今日頑張ればいい。今日頑張れなかったら明日頑張ればいい。今日結果を出せたことは自信につながる。みんなで頑張ることができた」と、立ち向かった若手をたたえた。

2位との直接対決初戦を理想的な展開で制し、3連勝と波に乗る。「1試合も落とすつもりはない、皆さん強い気持ちでグラウンドに立っている。優勝だけ見てやりたい」と辰己。ロッテには2・5差、首位オリックスには4差。上位をまくっていく。【鎌田良美】

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