2022年の近本はワイルドだろぉ?阪神近本光司外野手(27)が12日、鹿児島・沖永良部島で行っている自主トレを公開し、リモート取材に応じた。

名物のヤギ汁や砂浜でのトレーニングでワイルドに土台づくり中。17年ぶりのリーグ優勝、さらに目標に掲げた200安打へ向け、島民の強力バックアップのもと鍛錬を積む。

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沖永良部島の日差しを全身に浴びた近本が、プロ4年目への思いをギラつかせた。「200安打を打ちたいなっていうのは、ずっと思っています」。NPBでは過去6人しか達成していない。「だいたい1カード5、6本くらい(安打を)打ちたい。去年後半はあんまり難しくないなと(感じた)。打てなくても『明日2、3本打てば』と切り替えることもできる。トータルで打てばいい」。昨季は22本足りなかった偉業への道筋も想定済みだ。

計画遂行へ向け、島の魅力を生かしワイルドに練習を積んでいる。砂浜では動物のように4足歩行する「アニマルトレーニング」で全身をエクササイズ。名物のヤギ汁でスタミナをつけるなど、野性味あふれる男へ進化中だ。「やぎ汁は強いですね。パワーあるんですよ」。新たに今オフからバック宙やバック転にも挑戦。「やったことない感覚が欲しいなと。映像を見た時に(頭で)描いていたことと違う動きだったりする。より脳への刺激にもなる」と動きの再現性を高める取り組みを続けている。

同じ轍(てつ)は踏まない。昨季終盤に右足を痛め、シーズン残り4試合のところで欠場が続いた。「けがが怖いから体と相談して徐々に。肩はキャンプまでにつくりたい。バットはゆっくり、張り切りすぎず自分のペースで」。自主トレでは午前中をトレーニングにあて、ボールやバットを持つのは午後から。じっくりと土台をつくっている。

昨年末の地元淡路島での自主トレに続く“島行脚”だ。沖永良部島は2年連続で訪れ、昨季は初の打率3割、最多安打、ベストナインとゴールデングラブ賞の飛躍につなげた縁起の良い場所。中学校のグラウンドの一角に打撃ケージを設置してもらうなど島民のサポートに感謝しつつ、9日から23日までの15日間を過ごす。「今シーズン自分としてもチームをしっかり引っ張って、自分の目標を目指して頑張っていきたい」。南国でパワーを蓄え、1年間フル回転する。【中野椋】

▼阪神近本は昨季、140試合に出場し、178安打を放った。1試合平均は1・27安打。過去シーズン200安打以上した選手6人(7度)全員が1試合平均1・40安打以上(94年イチローの1・62が最高)で、仮に今季の近本が1試合平均1・40安打のペースで打てば、143試合でちょうど200安打に達する計算だ。近本は1カード(3試合)で5、6安打を目標にしている。143試合では47・7カードになり、1カードで平均5安打を放つとすると、シーズン238安打に達する計算。1試合平均1・66安打という驚異的なペースを実現できれば、15年秋山(西武)のシーズン最多216安打を大幅に更新することになる。

○…近本は大阪ガス時代からサポートを受けるスポーツトレーナーの仲林久善氏(36)と沖永良部島に乗り込んでいる。昨季終盤に負傷した経験から「筋力アップはせずに筋肉の柔軟性、関節をしっかり動かすことを意識しています」と仲林氏。バック宙、バック転については「体の使い方にすごく興味のある選手。背面部は意識的にイメージできるところではないと思うので、アスリートにとってはすごくいい」と効果に期待した。

◆沖永良部島(おきのえらぶじま) 鹿児島市から南へ552キロ、北緯27度線の上に浮かぶ隆起サンゴ礁の島。周囲56キロ、面積94平方キロメートル。和泊(わどまり)、知名(ちな)両町合わせて人口1万4000人余り。年間平均気温22度という温暖な気候で四季を通じて熱帯、亜熱帯の花が咲く。東洋一の鍾乳洞、昇竜洞をはじめ200~300の大鍾乳洞群が見られ「花と鍾乳洞の島」の異名をとっている。島内ではウミガメのビューポイントがあるなど美しい自然が自慢。近本は沖永良部島の伊勢エビが大好物。