センキュー、ワクイサン! 楽天ホセ・マルモレホス外野手(29)が、2安打3打点で自慢の打撃を発揮した。今季新加入した左のスラッガー。この日先発して今季初勝利を挙げた涌井秀章投手(35)からすしを振る舞われるなど、温かい歓迎を受けた。気配りを力に変え、チームの4連勝に貢献。開幕から不振にあえぐ新助っ人が、徐々に状態を上げてきた。

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“すしボンバー”がさく裂した。1点リードの1死一、二塁で迎えた第2打席。マルモレホスはカウント1-1から、河野の外角143キロ直球を振り抜いた。左中間を抜ける2点適時二塁打。「あの当たりは自分の中でいい時のサイン。あれが出たのは納得しているし、いい打席だった」とうなずいた。7回2死三塁では、宮西の外角スライダーを右前へ運び、3打点目を挙げた。

7日に、涌井にテイクアウトのすしをごちそうしてもらった。「マグロ、サーモン、アナゴ、カニ。一番大好物なのはカニでした」と笑顔。本拠地でスリッパを忘れたときには、涌井から使用していないものをもらった。「本当になにからなにまで、涌井さんにはよくしてもらっています。本当に感謝しています」と、先発マウンドへ上がった涌井へ、恩返しの1日となった。

試合前時点で、打率は1割4分8厘だった。物足りなさを感じるが、石井GM兼監督は快音の気配を感じていた。「昨日から良かった。昨日の第1打席、雰囲気が出てきたなと思います」。前日8日は4打数1安打。2回の第1打席は遊飛に倒れていたが、タイミングや間合いの取り方が良くなっていた。これまで打順は7番が多かったが、直感で6番に上げて起用。采配が的中した。

新助っ人は自身を長距離砲とは考えず、鋭い打球で打点を稼ぐ打者を理想とする。その意識が結果に表れ始めた。さらなる高みへ、今はタイミングを重視して打席に入っている。「クイックのタイミング、モーション、ピッチャーのタイミングを自分の中での課題に挙げて、打撃練習やゲームの中の打席で取り組んでいます」。優勝への立役者となるために、“野球”への完璧な順応を目指していく。【湯本勝大】