「豆腐のまち」で、頼もしいセットアッパーが復活した。日本ハム堀瑞輝投手(24)が楽天11回戦(盛岡)の7回2死満塁で登板。打席には岩手出身の楽天銀次。場内が大盛り上がりの中で、強い気持ちで外角へ143キロ直球を決めて空振り三振。どアウェーの雰囲気をはねのけた。

堀 全然気にしていなかったです。(銀次は岩手)出身なんですか? そういうことだったんですね。ツーアウト満塁だから、それだけの盛り上がりかと思っていました。すいません。ちょっと勉強不足でした。

まさかのオチまで付いたが、8回も続投して3者凡退。「正直、失うものはもうない。打たれれば打たれるし、抑えられれば抑えられるしって感じで割り切っていた」。精神的な強さを取り戻した姿を披露した。

3日阪神戦(甲子園)を皮切りに、失点が続いて9日に出場選手登録を抹消された。「本当に何も考えず、ただただプレッシャーがない中、自分の技術面であったり、やりたいことがやれた」。そして、悟った。

堀 (2軍へ)落ちる前は勝ちパターンで投げてうまくいかず、チームに迷惑をかけて、自分の中で信頼がどんどん失っていくような感じがすごくあった。それが今はあまりなく、まあ(自分を試合に)出した人が悪い、と。それだけ割り切っていった。

最優秀中継ぎ投手に輝いた昨季の思考を取り戻して1軍へ帰ってきた。新庄監督も「気持ちの面では落ち着いたんじゃない」と、手応えを感じた。“豆腐メンタル”に苦しんだ堀が、消費量日本一の「豆腐のまち」盛岡で復活ののろしを上げた。【木下大輔】

 

○…今季3度目のサヨナラ負けで6月の負け越しが決まった。8回に同点に追いつく粘りを発揮も及ばず。新庄剛志監督は「完璧でしたね。打ったバッター。素晴らしいです」と、9回にサヨナラ3ランを打たれた楽天の4番島内をたたえた。これでチームは今季3度目の5連敗。交流戦明けは勝利がなく、借金は今季ワーストの「16」に膨れ上がった。

○…先発した加藤貴之投手の連続イニング無失点は、28回1/3で途切れた。立ち上がりは軽快だったが、味方が先制した直後の3回1死から楽天小深田に右翼線を破る二塁打を許すと、続く茂木に適時二塁打され失点。2-1の4回には、集中打を浴びて試合をひっくり返された。7回途中3失点で降板し「先制点を取ってもらったにもかかわらず、逆転を許してしまい、申し訳ない」と悔しがった。

○…首位打者の松本剛外野手が“得点圏の鬼”ぶりを発揮した。3回1死二塁から先制の3号2ランを左翼席に放り込むと、8回1死一、三塁では同点の右前適時打。チームの全打点を挙げ、得点圏打率は4割8分8厘に。試合後の取材中には、昨季までチームメートで慕っていた先輩の楽天西川が乱入。「完璧やったな~」と打撃を褒められ笑顔も、すぐに「いいときも悪いときもある。あまり一喜一憂せずにやっていけたら」と表情を引き締めた。

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