ソフトバンク藤井皓哉投手(26)が28日、“ポスト千賀”に急浮上した。秋季練習で藤本博史監督(58)が、右腕の先発転向プランを明らかにした。今季は主に「8回の男」としてフル回転したが、独立リーグの四国IL・高知時代にはソフトバンク3軍にノーヒットノーランを記録した実績を持つ。来季は海外フリーエージェント(FA)権の行使を明言している千賀滉大投手(29)のメジャー移籍が濃厚。藤井がエースの後釜として指名された。

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藤本監督が、来季に向けて温めていたプランを自ら明かした。

「藤井を先発に変えたい。千賀の穴じゃないけど、あのフォークがあって体力もあるし」

今季55試合で防御率1・12とフル回転した中継ぎエースの先発転向だ。来季はエース千賀のメジャー移籍が濃厚。「千賀と同じようなフォークを投げるし、ゆた~っとしたフォームから154、155キロを投げるし。十分できるんじゃないかなと思ってます」。エースと投球スタイルの似た右腕が、“ポスト千賀”に急浮上した。

広島時代を含めてNPBで1軍先発の経験はないが、昨年は四国IL・高知で先発ローテーションを守った。21年5月9日には、ソフトバンク3軍戦でノーヒットノーランを達成。試合直前はブルペンで1球もストライクが入らない不調ぶりだったが、試合中に修正し快投した逸話を持つ。

この日ペイペイドームで行われた秋季練習中に、指揮官は藤井に配置転換の考えを伝えた。藤井は「監督からは『先発として考えている。お前の気持ちはどうや?』と聞かれたので、『やれるのであればやらせてもらいたいです』と伝えました」と前向きだ。来季の開幕は5カ月後だが「早い段階から言っていただけるのはすごくありがたい。意気に感じて、キャンプからこのオフ、しっかり過ごしていきたい」と意欲的だった。

20年オフに広島から戦力外通告を受けた。高知を経て、昨年12月の育成契約から開幕直前に支配下登録。今季中盤からは「8回の男」として君臨し、ブルペンを支えた。指揮官も「ピッチャーのMVPは藤井だった」と実績を認めている。中継ぎエースから、チームのエースへ。藤井のシンデレラストーリーは、まだ終わっていない。【只松憲】

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