ロッテは4日、今季中に国内FA(フリーエージェント)権を取得していた田村龍弘捕手(28)が権利を行使せず、来季もチームに残留すると発表した。

20代中盤でつかんだ正捕手の座も、今季はわずか2試合の出場のみ。調査に動いている球団もあったものの「マリーンズ残留を決めました」とこの日、明確なメッセージを出した。

吉井監督の思いにも感謝しつつ「チームメート、特に投手陣に残ってほしいと言われたことが素直に一番うれしく、残留することを決めました」と明かした。

時には失敗をしながら、投手陣の厚い信頼を得てきた。「朗希とか若い投手も出てきましたけど、そういう投手を引っ張って勝たせたいのがあるので。よけいプレッシャーもかかりますけど、みんな、タムさんに配球任せますって言ってくれて。後輩にリードしてもらったりもしますけど、それが捕手の一番楽しいところですね」。1年前の夏、そう話していた。

シーズンは長い。「いいことより悪いことの方が多い。いいことは長く続かない、というのはあると思うんで」。だから、とにかく切り替えを大事にする。

21年シーズンは開幕5連敗から始まり、守護神益田も早々に打ち込まれた。「普通の投手ならあそこでシーズン終わっちゃうくらいのメンタルだと思うんですけど、やっぱりあそこから立て直してきてるのは、益田さんも『悪いことの方が多い』って分かってるから常に切り替えていけてると思うので」。

マシンガントークの持ち主。言葉はさらに続いた。「切り替え、切り替えって言葉は悪いですけど、本当に切り替えないと一生だめなまま、シーズンだめなまま終わっちゃうので。そこをうまく自分でコントロールしたり、若い投手なら周りが声掛けてあげて」。しかし投手個人個人については「そこはあんまり詳しく言えないですけどね」と自分にストップをかける。

そうして時間をかけて得てきた“相棒たち”との信頼が、野球人生の分岐点でも結論に大きく作用した。「今年1年、成績を残せなかったのは事実」と認め「結果を求められながら、チームの核となれるように頑張ります」と話す。来季でロッテひと筋11年目。働き盛りだ。【金子真仁】

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