ソフトバンク田上奏大投手(20)が16日、開幕ローテーション候補に急浮上した。A組の紅白戦にB組から参加し、2回1安打無失点。主砲の柳田から直球で見逃し三振を奪うなど、高卒3年目右腕がアピールに成功した。藤本博史監督(59)は「ローテーションの候補ではあります」と明言。昨季にプロ初登板初先発を果たした20歳が、激戦区の先発陣に割って入る。

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20歳の田上が、34歳の主砲柳田に真っ向勝負を挑んだ。4回2死走者なし。フルカウントで、捕手のサインに1度首を振る。8球目、直球を選んだ。

「すごい人なので、自分がどれだけ通用するかを確かめたかった。思い切りいこうと思いました。最後の最後にやっとちゃんとした1球が投げられた」

外角高めに147キロを投げ込み、見逃し三振。柳田は「あぁ~」と口をあけ、苦笑いしながらベンチに戻った。B組から参加し、2回1安打無失点。上出来といえる結果に藤本監督は「良かったよ。ローテーションの候補ではあります」と明言した。「もう1回(A組に)呼んで、合流させるかどうかを決めたい」。高卒3年目の最速155キロ右腕が、開幕ローテーション候補に急浮上した。

昨季は19歳にしてプロ初登板初先発を経験した。4月12日のロッテ戦(長崎)で5回2/3を2安打無失点。投手転向後約2年で堂々の1軍デビューを果たした。「去年初登板をして、今年は1軍でやってやるんだという気持ちは強いです」。今季はプロ初勝利がかかる。「A組に呼ばれたかったけど、絶対にどこかでチャンスはあると思っていました。いつ呼ばれてもいいようにずっとBで準備していました」。カーブとフォークの改良を重ね、満を持して紅白戦で躍動した。

「他球団でも同じ年の投手がローテーションで回っていたりする。自分も負けたくないので。年齢関係なく、開幕ローテーションに割って入れるようなピッチャーになりたいです」

現状では10人前後いる開幕ローテの候補。その中で最年少の田上がダークホースになるか。「柳田斬り」に期待が膨らむ。【只松憲】

◆田上奏大(たのうえ・そうた)2002年(平14)11月26日生まれ、大阪府出身。履正社2年春に甲子園出場。3年のころ外野手から投手に転じ、150キロ台の速球を投じた。20年ドラフト5位で入団。21年オフに育成契約となったが、22年4月に支配下へ復帰。その後1軍戦登板を果たし、2試合で0勝0敗、防御率2・45。自己最速を更新する155キロを計測した。185センチ、88キロ。右投げ左打ち。

▽ソフトバンク斎藤学1軍投手コーチ(田上について)「今度は長いイニングを投げさせます。先発の頭数はすごく多いけど、その中に入ってこれる。その先は競争です」

○…ソフトバンクは16日、23年シーズンの観戦ルールを発表した。主催試合では、3月4日広島とのオープン戦からマスクを着用している状態で、声を出す応援や立ち上がっての応援、応援団によるトランペットの演奏が可能になる。選手会長の今宮は「ファンの皆さまの声援は本当に選手を勇気づけてくれます。その声援が帰ってくるということで、僕たち選手もとても楽しみにしています」とコメントした。

【ソフトバンク紅白戦詳細】板東と笠谷がともに2回1安打無失点 リチャードは2三振