お立ち台に差し込む日の光も歓声も、すべてが懐かしい。ロッテ種市篤暉投手(24)は「サポートしてくれたすべての方々のおかげ。ファンの声援も届いていた。ありがとうございます」と頭を下げた。リハビリ中、SNSの画面越しに見ていた応援の声を、体で感じた。

20年7月25日の西武戦以来、988日ぶりの1軍白星。危なげなかった。二塁まで走者を進めたのは2回2死、左前打と暴投の際の1度だけ。6回95球。最速150キロの直球とフォークを軸に7三振を重ねた。「スライダーが扱えたら、もうちょっと長い回いけると思う」。無失点投球にも慢心はない。

3年前の9月、右肘のトミー・ジョン手術を受けた。当時投手コーチだった吉井監督に電話で決断を伝えた。「リハビリ、頑張ってくれ」と言われた。同監督は責任を感じていた。「自分が(種市の)年齢の割に、イニング数を多くしちゃって故障したので」。登板管理に後悔があった。

けれど種市は、肘痛を首脳陣のせいとは思わなかった。むしろサポートに感謝している。「吉井コーチ」が「吉井監督」になった春の復活。「すごくうれしいですし、吉井監督を胴上げしたいなと思ってます。ケガは自分の技術不足。今後もリカバリーして1年間投げられるようにしたい」。

チームは5連勝で2カード連続勝ち越し。「種市がいい投球をしてくれて、本当に助かりました」。6回0封劇はファンだけじゃなく、指揮官の心も救った。【鎌田良美】

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