12球団制覇弾! オリックス森友哉捕手(27)がヤクルト戦で初アーチをかけ、史上43人目となる全球団本塁打を達成した。初回の第1打席で、ヤクルト石川から先制の10号ソロ。2年ぶりの2ケタ本塁打到達で、打線に火を付けた。両チーム計6本塁打が出た一戦に勝利し、チームは3連勝でパ・リーグ首位のロッテに1厘差と肉薄。5球団が優勝の可能性を残す交流戦Vへ、望みをつないだ。

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神宮のファンも大興奮のフルスイングだった。1回2死、森はヤクルト石川の3球目を鮮やかに捉えた。「初回2ボールだったので、ゾーンで来るだろうと思って、打ちにいきました」。読み通りのボールを逃さず右翼スタンドへ。快晴の東京にアーチをかけた。

人生初の神宮で本塁打を放ち、プロ10年目で達成した全球団制覇。「全く意識してなかった」と驚いた様子だったが「それだけ1軍でプレーできているというのはうれしいことだと思う」。積み重ねてきた1つの数字を喜んだ。

14年にプロの世界に入り、2軍で過ごした若手時代は脇目も振らず練習に打ち込んだ。試合前の練習でも持てる力を注ぎ、試合に出られないとまで思うほど。当時を振り返り「毎日死にそうだった」と周囲に明かしたこともある。フルスイングの下地は一朝一夕ではできなかった。

プロで出場機会を増やし、30代を目前にして、気づいたのは体のケアの大切さ。若さで戦ってきた20代前半にはなかった気づきだった。試合前練習が始まる前、1人でベンチ前に姿を現すと、ゆっくり時間をかけてストレッチ。専属トレーナーとも常にコミュニケーションを取り、戦い続ける体に整えている。

2年ぶりの2ケタ本塁打にも「ホームランは狙って打てないので、たまたまです」と意識する様子はない。この日も先制ソロだけでは終わらず、6回2死満塁でも冷静に四球を選び、大きな追加点につなげた。

中嶋監督が体調不良で不在の中、チームは3連勝で首位ロッテに迫る。森は「選手がやるべきことは変わらないので、しっかりやりたいと思います」。1つずつ達成した記録のように、これからも目の前の1試合に全力で向き合う。【磯綾乃】

▼森が1回に石川から本塁打を放ち、ヤクルト戦通算19試合目で初アーチ。現12球団すべてから本塁打を記録した。全球団から本塁打は22年中田(巨人)以来、プロ野球43人目。森は昨季まで石川とは対戦8打席で1本もヒットがなかったが、初安打を本塁打で記録して達成となった。

▼交流戦優勝決定方式 勝率1位を優勝とし、賞金3000万円。同率で並んだ場合は(1)勝利数(2)直接対戦成績(2球団の場合)(3)得失点率差(4)自責点率差(5)チーム打率(6)22年交流戦順位を比較する。17日現在、5位楽天までの5球団に優勝の可能性がある。

◆オリックス紅林(2回に4号ソロを放つなど、三塁打が出ればサイクル)「めちゃくちゃ狙っていて力んだんですけど、そこはこれから打てるように。あの場面でも力まず打席に立てるようにもっと練習したい」

◆オリックス頓宮(3回に6号2ランを放ちマルチ安打)「1本出てからポンポンと打てている。でも、全部狙って打ってない。しっかりセンターに入っていって、いい感じに捉えられているかなと思います」