歓喜の瞬間、甲子園の空に背番号24のユニホームが掲げられた。7月18日。13年ドラフトで岩崎、岩貞、梅野と同期入団の阪神OB横田慎太郎さんが、脳腫瘍のため28歳でこの世を去った。岩貞が中心となり、現役時代のユニホームを鹿児島の実家から拝借。空に向かい、最高の報告を届けた。

前半戦が終わり、翌日の訃報。岩貞は写真フォルダーを見返して思い出を振り返っていた。「10年前の写真とか、台湾に一緒に行った時の写真とかが出てきて。本当に寂しいというか、そういう気持ち」。それでも、戦いは止まらない。「横田がどう思っていようが、僕らはそれを勝手に背負ってというか。同期だった僕らはそう思いながらやっていきたい」。声を震わせ、絞り出すように誓った。

追悼試合の7月25日巨人戦では岩崎が2点リードの9回を無失点。マウンドではウイニングボールを掲げお立ち台では誓いを立てた。「1日1日いい報告ができるようにして。最終的に一番いい報告ができるように」。同月23日ヤクルト戦は梅野のマルチ安打などで後半戦初勝利。盤石な戦いを続け、この日を迎えた。

帰宅時や車の中、トレーニング中。岩崎は今でもふと横田さんを思い返すという。「(頭の)どこかにいて。『頑張らないといけないな』とさせてくれる」。天の仲間は、最後まで力をくれた。【波部俊之介】