ソフトバンクの高卒3年目、井上朋也内野手(20)が通算31打席目でプロ初本塁打を放ち、チームを単独2位へ導いた。同点で迎えた5回、先頭で左翼スタンドに決勝ソロをたたきこんだ。若武者の一打で勢いづいた打線は11安打10得点。9月初の2桁得点で、CS出場を争うロッテとの直接対決2連戦で2連勝を飾った。CSファーストステージの本拠地福岡開催へ、このまま突っ走る。

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井上朋也は公私ともに負けず嫌いだ。ゲームが大好きな20歳。なかでも「大乱闘スマッシュブラザーズ」が得意で、あらゆるキャラクターを使いこなせるテクニックがある。同期入団の田上奏大投手は「僕の方が弱いんですけど、たまに勝ったらむきになるんですよ。でもいろんなキャラクターで強いので、マジですごいです」と話していた。

高卒1年目の21年は、毎晩10時前後までタマスタ筑後の室内練習場で打撃練習をしていた。筑後の球団関係者が「あんなに夜遅くまで熱心に打つ高卒は見たことない」と目を丸くするほどだ。それでも当の本人は「同期には負けたくなかったので。最初が肝心ですから」とサラリ。寮の部屋では窓ガラスを鏡に素振りが当たり前だという。何事にも向上心を持ち続けた成果のプロ1号。努力の詰まったアーチだった。【ソフトバンク担当・只松憲】

◆井上朋也(いのうえ・ともや)2003年(平15)1月28日、大阪府生まれ。花咲徳栄では1年夏、2年夏に甲子園出場。3年時は甲子園交流試合に出場し、高校通算50本塁打。20年ドラフト1位でソフトバンクに入団。昨年8月の椎間板ヘルニア手術など乗り越え、3年目の今年9月6日ロッテ戦で1軍デビュー。今季年俸は推定860万円。背番号43。愛称はゴリ。181センチ、88キロ。右投げ右打ち。