オリックス平野佳寿投手(39)が日米通算250セーブを達成した。9回のマウンドに上がり今季29セーブ目を挙げて、名球会入りの条件となる節目の数字に到達した。

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平野佳の担当スカウトだった酒井勉氏(60=金沢学院大硬式野球部投手コーチ)は、一目で心を奪われた。「ときめきました。もう見るのが楽しくて」。マウンドでの立ち振る舞い、逃げない姿。京産大3年時に初めて見た時から、追い続けると決めた。

高知・室戸で行われる春季キャンプは4日間密着マーク。驚いたのは平野佳が行った3度のブルペン投球。「監督さんにお願いして捕手の真後ろで見ていたんですけど、400球くらいかな。その中で逆玉が3球しかなかった」。当時GMだった中村勝広氏も視察に訪れ「こいつ今すぐ連れて帰りたいなあ」とつぶやいていたという。

今にもつながるのは、窮地でのギアの上げ方。「ピンチかと思ったら、すごい集中力の増した強い目になるんです。どのくらいスピードを出すのかと思ったら、その日マックスの148キロを出していました」。

マウンドを離れれば地に足付いた人間性。入寮のため一緒に家電を買いに行くと、平野佳は「これの特徴は?」と店員に全て細かく質問し、自らメジャーで大きさを計った。寮をのぞいても、いつも部屋は整理整頓されていた。今も節目の数字を達成すれば連絡が来る。「当たり前かもしれないけど、なかなかできないですよね」。誰からも慕われる人となりも、しっかり見抜いていた。【磯綾乃】

【動画】オリックス平野佳寿、史上4人目の日米通算250セーブ達成