恩人の故郷のマウンドをかみしめた。

巨人菅野智之投手(34)が楽天モンキーズ戦に先発し、3回4安打無失点の粘投。3回は無死二、三塁のピンチも後続を2者連続空振り三振と二ゴロで無失点でしのいだ。「なかなかこういう機会はないので、先発できて幸せでした」と穏やかに言った。

台湾で、ヤンキースで最多勝を獲得するなどでメジャー68勝の中信ブラザーズ王建民投手コーチと再会した。「彼の教えがあってここまで来られていると思う」。プロ入り前の1年間の浪人時代の12年に米アリゾナ州で一緒にトレーニングを積んだ。孤独な時間が紛れるどころかワンシームの投げ方など助言をもらった。

12年ぶりに再会した1日は互いの近況を報告。深くは話し込めなかったが「まだまだ頑張ってね」と背中を押された。

台湾遠征での登板を志願したのは王コーチに感謝を伝えるためだった。4勝止まりだった昨季。関係者を通じ、同コーチからビデオメッセージが届いた。日本語で激励の言葉が並んでいた。年齢、体の変化と向き合いながら1年を過ごした中、確かな原動力の1つになった。「それがあって監督に台湾で投げたいです」と伝えた。

実績を積み重ねてきた大エースも今は勝負どころの岐路に立つ。カットボールで4つの三振を奪い、ツーシームも納得の完成度を示した。「個人的にはたくさん課題も出たが、結果的にゼロで抑えることができた。次につなげていきたい」。円熟味を増す中で、原点も思い出した台湾。力強く前を見据えた。【上田悠太】

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