日本ハム新庄剛志監督(52)が開幕ローテーション最後の1枠を北山亘基投手(24)に託すことを決めた。本人に通達したのは22日で、最後の決め手は「じゃんけん」。グーを出した指揮官に対し、パーを出して勝った3年目右腕が晴れて開幕ローテ5枠目をつかんだ。2月の春季キャンプ中から好投を続けてきた2年前の開幕投手は24日、イースタン・リーグ巨人戦(鎌ケ谷)に先発。5回2失点、8奪三振で開幕前の調整登板を終えた。

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新庄監督らしく、遊び心満載で“合格通知”を言い渡した。22日DeNA戦の試合前練習でのこと。エスコンフィールドのグラウンドに登場した指揮官は、右翼にあるブルペンへ直行した。そこにいたのは建山投手コーチと話していた北山だ。顔を合わせると、唐突に「じゃんけんして、俺に勝ったら5戦目ね」。すぐさま開幕ローテ入りをかけた、北山にとって今季一番の勝負が始まった。

妙な緊張感がブルペンに走る。「じゃんけん…」と静かに始まり、新庄監督は握った拳をそのまま出してグー。北山は「もう明らかにグーを出す雰囲気を出してくれていた。優しいなと思いました」とパー。その手が示したように開幕ローテ5枠目をつかんだ3年目右腕は思わず「あぶねぇ」。その姿に笑いながら新庄監督は「任せた」。北山も「しっかり頑張ります」と力強く返答した。

これで開幕ローテは伊藤、加藤貴、上原、山崎の4人に、2月の春季キャンプ中の実戦から好アピールが続いた北山を加えて5人で確定した。新庄監督は北山と最後まで争った根本について「準備はしておいてほしいという意味でファームへ行かせる。先発の5人に何かあった時には、すぐ行ってもらう」とバーヘイゲンとともに2軍スタート。ロング救援もできる鈴木は、まず中継ぎに組み込む。

この日、2軍戦で先発した北山は5回96球を投げて2失点、8奪三振。アクシデントなく開幕前最後の登板を終えた。1年目の22年はセットアッパーながらBIGBOSSサプライズで開幕投手に抜てきされたが、今回は実力で勝ち取った開幕ローテの座。「死んでも譲らない気持ちで」。まずはスタートラインとなる4月3日楽天戦(エスコンフィールド)へ向けて、万全を期す。【木下大輔】

 

◆日本ハムの開幕ローテ決定の経過 ゴールデンウイークまで6連戦がない日程を考慮して、開幕ローテは5枠に設定。新庄監督は昨年11月に開幕投手の伊藤大海投手(26)、同12月に本拠地開幕戦の先発が山崎福也投手(31)と公表。さらに1月には加藤貴之投手(31)とドリュー・バーヘイゲン投手(33=カージナルス)も開幕ローテ入りを明言していた。ただ、オープン戦で苦しい結果が続いていたバーヘイゲンの開幕ローテ入りを白紙に戻し、春季キャンプから好結果を続けた上原健太投手(29)を抜てき。残る1枠を北山、バーヘイゲン、根本悠楓投手(20)、鈴木健矢投手(26)で争い、北山が最後の5枠目を手にした。