宙組トップ朝夏(あさか)まなと、相手娘役・実咲凜音(みさき・りおん)のトップコンビ集大成となる「王妃の館」「VIVA! FESTA!」が、兵庫・宝塚大劇場で上演中だ。浅田次郎氏の人気小説を原作にしたミュージカル「王妃-」と、世界の祭りを描いたショーの2部構成。息の合った芝居、デュエットダンスでも魅了。朝夏は「自分のために花を咲かせて」と言い、今作が退団公演の実咲を送り出す。宝塚公演は6日まで、東京宝塚劇場は31日~4月30日。

 トップから娘役冥利(みょうり)に尽きる言葉をもらい、実咲は退団公演に臨んでいる。「(『自分のために舞台で花を咲かせて』は)最大の愛のお言葉で、課題とも思う。甘えることなく、学んだことを最大限に生かしたい」。笑顔に充実感が漂う。

 朝夏とは古巣の花組時代から一緒。実咲が1年目から胸を借りてきた。

 「心、懐が大きくて、優しくて、朝夏さんの言葉は、何もかも、ありがたかった。感謝、幸せ。人生の最後に、走馬灯のようによみがえるぐらい。これで最後かと思うと、帰り際にふと、寂しくなることも」

 今作の役柄は、ツアーをダブルブッキングする旅行代理店の社長役。「最近はエリザベートなど王妃の役が続いていたので、等身大の女性は久しぶり」。懸命であるほど、その姿がおもしろい。コメディーは「得意じゃない」と言うものの、笑いのDNAはある。

 「そこはやはり、関西人なので(笑い)。お笑い番組も好き。関西出身だということを誇りに思いつつ、取り組んできました」

 早くから抜てきが続き、がむしゃらに走ってきた。自身の境遇にリンクする。「私もすぐやりすぎちゃう。空回り感は、分からなくもない」と笑った。

 ショーの見どころを聞くと「デュエットダンス!」と即答。朝夏と同じく、トップコンビとしての集大成を詰め込む覚悟だ。

 ◆ミュージカル・コメディー「王妃の館」(原作・浅田次郎氏、脚本・演出=田渕大輔氏)浅田次郎氏のベストセラーをミュージカル化。太陽王ルイ14世が残した「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ(王妃の館)」を舞台に、個性豊かな登場人物による人間模様をコミカルに描く。深刻な経営難に陥っているパリの高級ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」に目を付けた旅行代理店が、高額の「光ツアー」と格安の「影ツアー」を同時催行することで起こるドタバタ劇。

 ◆スーパー・レビュー「VIVA! FESTA!」(作・演出=中村暁氏)リオのカーニバル、ヨーロッパのヴァルプルギスの夜、スペインの牛追い祭り、日本のYOSAKOIソーランなど、世界の「祭」をテーマにしたレビュー。

 ☆実咲凜音(みさき・りおん)7月5日、神戸市生まれ。09年入団。花組配属。10年8月「麗しのサブリナ」新人公演で初ヒロイン。バウ、外部劇場でヒロイン多数。11年の映画「阪急電車 片道15分の奇跡」にも出演。12年5月に宙組。同7月トップ娘役に就き、凰稀(おうき)かなめ(前宙組トップ)の相手役を務め、15年2月からは朝夏とトップコンビ。身長163センチ。愛称「みりおん」。