元宝塚歌劇団宙組の男役スター緒月遠麻(おづき・とおま)が退団後初の舞台「希望のホシ」に挑む。石原プロモーションの初プロデュース舞台。女性ばかりの宝塚から一転、石原軍団の俳優に囲まれ、新鮮な気持ちで稽古に取り組んでいる。同作品は来月10日から18日まで東京・北とぴあつつじホールで上演される。

 緒月と共演するのは、石原プロ所属の金児憲史(37)池田努(36)宮下裕治(40)。4人の平均身長は182・5センチ。都内の稽古場を訪れると、さぞ舞台映えするであろう4人がスーツ姿で待っていた。

 「希望のホシ」はコメディー要素たっぷりの刑事もの。緒月にとって2月の宝塚退団後、初舞台となる。「男性が稽古場にいるのがすごく新鮮です」。7月のポスター撮影で、初めて3人と対面した。「最初からものすごくしゃべりやすくて気さく。楽しくお芝居できそうだと思いました」。すると池田の唇に菓子のかけらが付いているのを発見。指摘された池田は「あはは。こういう感じでやってます。言っちゃなんだけど、最初から緒月さん、石原プロにいたみたいです」。

 3人への安心感や信頼があるからこそ、宝塚時代と同様に芝居に集中できているという。「宝塚時代から何かを見たりして役作りするのではなく、稽古で自分に足りないものをつかんで積み上げていく。今回もそう。これから刑事っぽさをどんどん出していかないといけないですね」。

 男性陣3人にも、緒月の存在が刺激になっている。金児は「舞台に立った時、声も存在感もパワフル。ここで負けちゃいけないって思います」と話す。

 刑事4人の会話の間(ま)や、テンポが重要な作品になっている。練り上げられた脚本のため、アドリブは一切ないという。それだけに日々の稽古がより一層重要になってくる。宮下は「どんどん面白くなっている。日に日に息が合ってきている」と手応えを感じている。

 緒月が3人を「全員がお兄ちゃんみたい」と言えば、池田も「僕たちはもうファミリーです」。4人の結束、それぞれの挑戦が見られそうだ。 【小林千穂】

 ◆緒月遠麻(おづき・とおま)12月3日、愛知県生まれ。00年に宝塚歌劇団に入団、雪組に配属。同年「源氏物語あさきゆめみし」で初舞台。04年「スサノオ」新人公演で水夏希役に抜てきされる。「ロミオとジュリエット」「ニジンスキー」などに出演。12年5月に宙組に。男役スターとして活躍後、15年2月に退団。174センチ。血液型A。

 ◆「希望のホシ」 あるホテルに殺人事件の容疑者が来るという情報が入る。容疑者が支配人にあいさつに来るというのだ。待ち構える刑事の国東(池田)は正義感が強く、黒岩(宮下)は警視庁へのアピールに余念がない。警視庁捜査1課の上條(金児)は以前、所轄に飛ばされたことがあるといううわさがあり、主任の中原(緒月)は冷静そうに見える。容疑者は本当に来るのか、事態は思わぬ方向に転がっていく。作・演出は劇団LIVES主宰の大浜直樹氏。